《一文字村雨》ゆったり余生を過ごしたいなら、早めに手を打っておくべきこと
どんな余生を過ごしたいですか? と聞かれて、
しんどい思いをしていたいという人はいないでしょう。
できれば余裕を持って好きなことをしていたい
というのが切実な願いだと思います。
悠々自適な生活を送っていても、先送りにしがちなのが相続問題です。
誰に残すべきかという問題は、相続人にとっても重大な関心事。
感情のままに、残す相手を決めるか。
それとも有効に活用してくれるべき相手に継がせるべきか。
少なくとも、今お持ちの資産は、墓の中には持って行けません。
古墳時代の豪族じゃありませんしね。
いずれにしても、誰に残すかというより、
自分の資産をどう使うかという意識の方が、
前向きになれるように思います。
私は測量業務に従事していたので
相続についてもそれなりの案件に関わってきました。
世田谷の高級住宅街などで数千㎡の土地に関わることもありました。
それを踏まえて、もうひとつ気をつけて頂きたいのが、
事に当たって誰に任せるかということ。
特に土地の運用に関しては、時間と費用がかかる上に、
数十年前からの諸問題が噴出してくることさえあります。
例えば、土地の境界について。
それこそ刃傷沙汰に発展することもあります。
土地の価格にしろ税額にしても、
まず地積が確定しないと算出できません。
そもそも、地積は土地の境界を確定しないと決まらないのです。
ですので、隣人との境界は利害に直結するので、
大問題に発展したりします。
某高級住宅街では境界が1㎝ずれただけで訴訟沙汰です。
面倒なことは自分が死んだ後に
子供達がやればいいと思っていても
相続対象の土地は前もって準備をしていた方が得策です。
なぜなら相続が発生すると納税期限が決まってしまって、
隣人に足下を見られてしまうこともあるからです。
さらに、相続予定の人達は
隣人との間にある感情のほつれを
熟知していない場合もあります。
そうなると、相続の際に今までの鬱憤がぶつけられて、
まとまるものもまとまらなくなったり、
境界を動かされたのだの因縁をつけられることもあります。
そんな事例もありますから、
生前にご自身が主導して道筋をつけた方がよいのか
それとも信頼できる第三者を頼るべきか。
あるいは次の世代の意見を尊重した方がよいかもしれませんから
考えを纏めるのは早い方がよいでしょう。
小さな戸建てだからといっても、
おいおい売却する可能性を考慮すれば、
面倒がらずにやった方がよいですね。
例えば、隣地で相続が発生して、境界の立会依頼が来た場合、
便乗してその業者に測量を依頼するというのも賢明です。
豆知識にはなりますが、事前に準備する際は地元の不動産業者か
その敷地を登記した土地家屋調査士に依頼するとスムーズです。
良心的な調査士なら、数十年前の測量データを保存していますし
隣接の所有者にも顔が利いたり、
あるいは元々測量していた人だから
と安心してもらえる可能性が非常に高いからです。
このように、土地だけみても、意外にやることが多いのです。
ゆったりと有意義な余生を過ごすなら、
諸々の準備は早めかつ入念になさるのが得策でしょう。