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阿佐霧 峰麿

〈阿佐霧峰麿〉星を読むという行為が「自分の構造」を照らし始めた日(第一章⑧)

仕事のわずかな待機時間と休日を使って、

私は黙々と占いの本を読み続けていた。

 

 

現実は何ひとつ変わらない。

 

 

けれど、自分の流れだけは

“自分の手で読み解けるようになりたい”

 

その思いだけが支えだった。

 

 

 

四柱推命(しちゅうすいめい)をかじったあと、

偶然出会ったのが「紫微斗数(しびとすう)」だった。

 

 

ページを開くと、

紫微星(しび)、武曲星(ぶごく)、

貪狼星(どんろう)、七殺星(しちさつ)──

 

見慣れない星の名前がずらりと並び、

それぞれが人格を持つキャラクターのように描かれていた。

 

 

紫微星は孤高のリーダー。

武曲星は不器用なくらい真面目で、

 

貪狼星は欲望にまっすぐ。

七殺星は瞬間の判断で切り込む決断の星。

 

 

読んでいるだけで面白かった。

 

ただ同時に、こうも思った。

「これ、全部が自分って話じゃないよな?」

 

 

 

紫微斗数は、

どの星が自分の“命宮(めいきゅう)”に入り、

 

その周囲──

三方四正(さんぽうしせい)に

どんな星が配置されているかで

その人の“核”が決まる。

 

 

星の羅列ではなく、

配置が“構造”をつくる。

 

 

私は自分の命盤を手書きで作った。

 

 

 

命宮には主星が二つ入っていて、

三方四正すべてに、主星と副星の組み合わせで

配置されていた。

 

 

 

紙面に広がる星の量に、思わず息を呑んだ。

 

だが、そこからが本当の迷宮だった。

 

 

 

書籍に載っているのは

 

「主星1つ×主星1つ」

「主星1つ×副星1つ」

 

といった最低限の組み合わせだけ。

 

 

 

しかし、実際の命盤はそんな単純ではない。

 

主星2つに、副星4つ。

さらにその星たちがそれぞれ別の性質を持ち、

互いに影響し合う。

 

紙面では語り尽くせていない領域が多すぎる。

 

 

読み込むほど矛盾が増え、

理解したと思った部分が別ページで覆される。

 

 

 

「これは……本だけじゃ無理だな。」

 

そう感じた決定的な理由が、

四化星(しかせい)の存在だった。

 

化禄・化権・化科・化忌──

(かろく・かけん・かか・かき)

 

この四つの星が、

どこからどこへ“飛ぶ”のか。

どこを強め、どこに影を落とすのか。

 

 

 

紫微斗数の面白さはそこにあるのに、

書籍にはその一部しか書かれていない。

 

 

 

理由ははっきりしている。

 

四化星の飛星は、

口伝で受け継がれてきた“秘伝”だったからだ。

 

 

 

私はその時ようやく理解した。

「本流に触れなければ、この占術は絶対に読めない」

 

 

とはいえ、私は海外の文献を読み漁るような

研究者タイプではない。

 

 

自分で探せる範囲で、

“鑑定として使えるレベルの紫微斗数”

を教えている人を探した。

 

 

 

台湾では紫微斗数が最も有名な占術で、

本場の技法は台湾にある──

 

 

そのことだけは分かっていた。

 

 

 

日本に、その本流を継ぐ人がいるのか。

 

 

 

半信半疑のまま、

仕事の合間に検索し、

 

休日に本を読み、

細い糸をたどるように探した。

 

 

 

 

そして辿り着いたのが、

中島多加仁(なかしまたかひと)先生 だった。

 

 

 

紫微斗数の思想、

四化の扱い方、

命盤を読む“構造”そのもの。

 

探していた答えがすべてそこにあった。

 

 

 

 

星を読むというのは、

未来を当てることではない。

 

 

自分がなぜこう反応するのか”

どこで負荷がかかりやすいのか”

 

その構造を理解する行為だった。

 

 

 

あの頃の私はまだその深さを知らなかった。

 

 

けれど、命宮と三方四正に視線を落とした瞬間、

これまで形のなかった不安が、

わずかに輪郭を帯びた。

 

 

 

 

あなたの中にもきっとあるはずだ。

言葉にできなかった違和感の源が。

 

 

 

紫微斗数であれ、別の方法であれ、

それを“構造”で見られるようになると、

 

生きづらさは呪いではなく、

読み解ける地図になる

 

 

 

星は、私にその視点を与えてくれた

最初の扉だった。

 

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言葉でも、声でも、対面でも──

その日のあなたに合う距離で。

 

そっと寄り添える場所として、

ここにいます。

 

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