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あぐり

占い師になりたいけれど・・・

占い師になりたい――
その願いを胸に抱きながら、まだ足がすくんでしまう。
火水未済・三爻は、まさにそんな「始まりと途中」のあわいに立つ、あなたの姿そのものを映しています。

火が上、水が下にある「未済」は、
鍋の中の水が、いままさに温まり、沸騰へ向かっていく途中のような卦です。
まだ「できあがっていない」けれど、
たしかに火は灯り、静かに力を増している。

三爻は、水の上端――
「これから上へ抜け出していこうとする瞬間」を示します。
だからこそ、不安と期待が同時にふくらむのです。


いまのあなたの胸の内には、こんな声が渦を巻いているかもしれません。

「家族はどう思うだろう」
「友人は何て言うだろう」
「本当に私なんかにできるのだろうか」

未済の卦に出る“不安”は、
失敗の予告ではなく、「まだ整えておくべきことがあるよ」というサインです。

占い師としての一歩を踏み出したばかりだからこそ、
自分の足元に目が行き、
まだ固まっていない土台が、ぐらりと揺れて見える。

でも、それでもあなたはもう知っているはずです。

初めてタロットを引いたあの日の、
あの胸が震えるような感覚。
誰かの悩みにカードがそっと寄り添い、
言葉を選びながら伝えたとき、
相手の顔にふっと光が差した瞬間。

「占い師として生きていきたい」
「これを天職にしたい」

その確信は、気まぐれな思いつきではありません。
あなたの深いところから、何度も何度も呼びかけてきた“声”です。


火水未済・三爻はこう告げます。

「周囲の理解は、まだ“未済”であってよい」

いま、無理にすべてを分かってもらおうとしなくて構いません。
家族や友人に話すタイミングは、慎重に選んでよいのです。

むしろ、いま大切なのは、
他の誰でもない“あなた自身が”、
自分の願いをはっきりと認め、
その火を消さずに育て続けること。

誤解されたり、反対されたりするなら、
いまは「語ること」を一時保留してもいい。

静かなところで学び、
経験を重ね、
小さな実績を積み上げていく――

その過程こそが、未済の卦にふさわしい歩み方です。


占い師という仕事は、
単に「当てる」ことではなく、
絶望の縁に立つ人の心に、
そっと灯りをともす営みです。

あなた自身もまた、
占いや言葉や誰かの存在に救われ、
ここまで歩いてきたのでしょう。

だからこそ、
「今度は自分が、光を渡す側に立ちたい」
そう願うのは、ごく自然で、人として尊い衝動です。

自分の心に灯った火を、
次の誰かへ手渡したい――
その願いは、決して利己的な夢などではなく、
多くの人と未来を照らすための“天職”の芽生えです。

そんな生き方が、本当に理解されないまま終わるはずがありません。
時間はかかっても、あなたの背中を見て、
「この人は本気なんだ」と感じる人は、必ず現れます。


火水未済は、「まだ途中」を否定しません。
むしろ、「途中であること」を祝福します。

占い師としてのあなたは、
まだ川を渡りきっていないかもしれない。
けれど、すでに岸を離れ、
ゆっくりと流れの中へ漕ぎ出しています。

・周囲への宣言は、急がなくてよい。
・自信は、「やるから生まれるもの」と心得てよい。
・いまは、学びと実践を重ねる“修行期”を味わえばよい。

あなたが目指すのは、
ただ「占い師と名乗る人」ではなく、
悩める誰かに、本当に寄り添える占い師のはずです。

その器をつくる時間が、いま与えられている――
火水未済・三爻は、
そんな「途中のあなた」を、やさしく肯定している卦です。

どうか、自分の内なる火を信じてください。
いつ話すか、どう名乗るかは“好機”を待てばいい。
まずは、あなた自身が、
自分の天職を静かに受け入れるところから始めていきましょう。

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