結婚したいのに、なぜか前へ進めないときがあります。
仕事は充実していて、仲間との時間も楽しい。
決して孤独ではなく、むしろ今の生活は満たされている――。

それでも、静かな夜の奥のほうで、ふっと湧き上がってくる思いがあります。
「いつか、心から寄り添える人と暮らしたい」
そんな願いを、誰にも言わずに胸の奥にしまっている。

今回のご相談者様は、まさにそのような揺らぎの中に立っていました。

易を立てたところ、水火既済（すいかきせい） 初爻。
「川を渡ろうとする車の車輪が、後ろへ引き戻される。
狐が尾を濡らし、慎重に歩みを止めている。
けれど、慎重であれば大丈夫。」

これは、物事がすでに動き出しているのに、
心のどこかで自分自身がブレーキをかけている状態を表す卦です。

結婚したい。少し怖い。
そのふたつが、見えない綱引きをしている。

――今の幸せを失ってしまうのではないか。

仕事の楽しさ、自由な時間、仲間との関係。
それらが結婚によって奪われてしまうかもしれない、という恐れ。
あなたの心は、とても誠実です。
大切なものを守ろうとしている。
だからこそ前へ進みにくくなるのです。

けれど結婚は「失うこと」ではなく、
あなたがすでに大切にしてきたものをさらに育て、
喜びを共有するための選択でもあります。

今、少し想像してみてください。
結婚しても、好きな仕事を続けているあなた。
仲間と笑っているあなた。
そこに、あなたを尊重し、共に進むパートナーがいる未来を。

もしその想像に曇りがあるのなら、
「何が不安なのか」を丁寧に言葉にしてみましょう。
・どんな場面で自由が失われそうなのか
・どんな関係に影響が出そうなのか
そして一つずつ解決策を探してみる。
不安は、輪郭が見えた瞬間から小さくなります。

さらに、出会いに対して、
「今までダメだったから、きっとこれからもダメ」
そんな思い込みが忍び込んでいないでしょうか。
人は傷つきたくないとき、未来まで否定してしまいがちです。
防衛本能は優しい盾。でも、いつまでも持ち続ける必要はありません。

盾をいつまでも持っていることで、良いご縁を跳ね除けている可能性があるのです。

シャッターの下ろされたお店には誰も入ってきませんよね？

人間同士のあらゆるご縁もそうなのです。

心の奥底で結婚を拒否している人には、良い方が現れても前を素通りしてしまうのです。人はあなたの心の奥底をどこかで感じ取ってしまうものなのです。

しかし、潜在意識には、まだ眠っている可能性がたくさんあります。
その扉が少し開くだけで、出会いの流れは大きく変わります。

成長するのは、仕事だけではありません。
人を愛し、愛される経験は、
あなたの人生に深い色と光を与えます。

既済の卦は
「まだ物語は終わっていない。ここから完成へ向かう」
そんな強いメッセージでもあるのです。

もし、ひとりで思い悩む日々が続いているのなら、
どうか一度、あなたの心の声を聞かせてください。

恐れを整理し、未来への道筋を共に描くお手伝いをさせていただきます。
あなたが安心して踏み出せる一歩を、必ず見つけましょう。

結婚とは、人生を狭めるものではありません。
愛に支えられ、世界を広げる選択です。

あなたの未来には、まだ出会っていない誰かの笑顔が待っています。
その笑顔へ続く扉を、静かに、そっと、開いてみませんか。