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阿佐霧 峰麿

〈阿佐霧峰麿〉過去の自分との距離は、一気には縮まらない(第二章④)

痛みに最初の一行が生まれた瞬間、

その言葉は、過去へ向かって細く伸びる“糸”になった。

 

 

 

けれど、その糸の先にいるはずの昔の自分は、

すぐには振り向かない。

 

 

 

拒絶しているわけでも逃げているわけでもない。

 

 

ただ──長いあいだ放置されすぎて、

自分がどこに立っているのか

分からなくなっているだけだ。

 

 

 

私の場合、その距離が縮まり始めたのは、

本を閉じた直後に訪れる“数秒の静寂”だった。

 

 

文字を追っていたはずなのに、

ふいに胸の奥に昔の気配が浮かぶ。

 

 

離婚を決めたときの温度。

職場の緊張を飲み込んでいた頃の息の浅さ。

円形脱毛症に気づいた日の、あの指先の冷たさ。

 

 

どれも鮮明な記憶ではない。

 

 

ただの残像のようにぼんやりしていて、

掴もうとすると霧のように消えてしまう。

 

それでも確かに近づいてくる。

 

 

言葉を持たないまま放置されていた感情たちが、

ようやくこちらを向き始めていた。

 

 

 

ただ、この段階で“深追い”するのは禁物だった

 

 

心の準備が整う前に扉をこじ開ければ、

またすぐ固く閉じてしまう。

 

 

長く痛みを後回しにしてきた人ほど、

心は慎重に、ゆっくりしか動いてくれない。

 

 

 

だから私は、本を読むたびに

ほんの少しだけ過去を思い出し、

胸がざわついたら、

すぐに日常へ戻るようにしていた。

 

 

この「行って・戻る」を繰り返す往復運動こそが、

長く凍っていた心をゆっくり溶かす

最初のプロセスだった。

 

 

過去を思い出す。

胸がざわつく。

ページを閉じる。

また次の待機時間に、ふっと思い出す。

 

 

 

そのたびに、過去の自分と今の自分の距離は

ほんの一歩ずつ、確実に縮まっていった。

 

 

 

 

そして私は気づくことになる。

 

 

過去は“向き合う”より先に、

まず“見つけてあげる必要がある”ということに。

 

 

 

多くの人がここを間違えてしまう。

 

 

「ちゃんと向き合わなきゃ」

「整理しないと」

「感情を見つめないといけない」

 

そう焦ってしまう。

 

 

 

けれど、本当は逆だ。

 

 

まずは、そこに“まだ痛みがある”ことを見つける。

 

まだ名づけられていない感情が

残っていることを認める。

 

 

拾われていない気持ちが、

静かに立ち尽くしていることを知る。

 

 

 

ただそれだけでいい。

 

 

 

すると、不思議なことに

過去の自分はこちらへ“半歩だけ”寄ってくる

 

 

走ってくるわけでも泣き崩れるわけでもない。

ただ静かに、確かに距離が縮まる。

 

 

 

その半歩こそが、心の再構築の

本当のスタート地点だった。

 

 

 

そしてこの“半歩”は、誰にでも起こり得る。

 

 

 

 

もし今、

 

・理由の分からない胸のざわつき

・説明できない疲労

・記憶の形をしていない違和感

 

を抱えている人がいるなら、

 

 

 

それはあなたが弱いのではなく、

 

過去のあなたが「ここにいるよ」と、

そっと合図を送っているだけだ

 

 

 

過去は、向き合う前に見つける。

 

それだけで、心は再びあなたに歩み寄る。

 

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言葉でも、声でも、対面でも──

その日のあなたに合う距離で。

 

そっと寄り添える場所として、

ここにいます。

 

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