「無料で占ってもらったら、あなたは結婚できませんと言われてしまいました。もし結婚できても離婚するそうです。」
そんな切ない相談が寄せられた。

その言葉を受け取った瞬間の彼女の胸の冷たさを思う。
人は誰しも、未来への不安を抱いている。そこへ“断定”が突き刺さると、心は簡単に萎えてしまう。

しかも、その直後にパワーストーンの購入を勧められたという。
占いを仕事とする者として、この構図は見過ごせない。

落ち込んだ彼女の命盤を、紫微斗数で丁寧に広げていく。
夫妻宮には、ひときわ凛として輝く天梁星が坐していた。

天梁は「棟梁」の名の通り、誇り高く、義を重んずる人物像を象徴する。少し不器用で口下手だが、誠実で、長く寄り添うほどに信頼が深まり、人生の伴侶として申し分のない星だ。

一方の彼女自身には、天機星と太陰星がやわらかい光を放つ。
天機は知性と気づき、太陰は優しさと包容の星。
繊細で、誰かの痛みに敏感で、ふとしたことで傷つきやすい。
けれど、その感受性こそが彼女の魅力であり、誰かの心を支える力となる。

もし天梁の彼と結ばれるなら——
大きく支える力と、きめ細やかに寄り添う力が、美しく呼応するだろう。
紫微斗数は、二人を「補いあい、長く良き関係を育む相性」と告げていた。

念のため姓名判断も照らし合わせる。
こちらでも「良縁に恵まれる」と穏やかな吉意が示される。

さらに四柱推命で命式を開くと、彼女は乙酉。
気遣いができ、自立性が高く、人から好かれる性質を持つ。

ただし、ひとつだけ特徴がある――
甘えるのが苦手なのだ。
これは欠点ではない。

ただ、恋愛において心の扉の開け方に少し時間がかかるだけ。
結婚前に「私は甘えるのが得意ではないの」という素直な告白ができれば、それは二人の未来を照らす灯火になる。

最後に手相をみた。
そこには、結婚線がきちんと刻まれていた。

いくつもの占術を重ねて読み解いた結果、「結婚できない」という相は、どこにも存在しなかった。むしろ、温かい縁の気配が随所に満ちていた。

では、なぜ無料占いでは「結婚できない」と断じられたのか。
その占術がどのようなものであったかは定かではないが、パワーストーン販売につなげるための“恐怖マーケティング”が行われた可能性は否めない。

占いは本来、運命を閉ざすものではなく、開くためにある。
たしかに、人には縁の薄い時期や、結婚運が揺らぐ時期もある。

しかし占いとは、そうした現実の課題に光を当て、どう補い、どう伸ばすかを共に探るための道具だ。
あなたの長所を知り、短所を責めず、未来を形づくるための知恵である。

結婚できない、と誰かが言ったその言葉は、あなたの真実ではない。
運命とは閉じた扉ではなく、あなた自身が開いていく“道”だからだ。

逆に根拠のない「結婚できない」という言葉の呪縛に縛られたままでは、自らの運を閉ざしかねない。

 

この女性の未来には、まだ誰にも触れられていない温かな光がある。
その光を、脅しの言葉で曇らせる必要はどこにもない。
本来のあなたの星が示す道を、静かに信じて歩いていって欲しい。