朝凪彩月
くるみ割り人形の季節
つい最近街を歩いていたらふと、くるみ割り人形の公演のポスターが目に止まりました。
そして、思わず立ち止まって眺めながら、昔の懐かしい記憶が蘇りました。
娘は幼い頃からバレエを習っていたので、クリスマスの頃にはくるみ割り人形の公演は何度か見に行ったことがあります。
くるみ割り人形の舞台はまさに夢の世界です。
煌びやかな舞台のセットと音楽、そして美しいバレリーナたちが軽やかに舞う姿に、見ている観客も思わずその世界に引き込まれて、その時間だけは現実とは違う宝物のような夢の空間でした。
その裏側で、あの美しいバレリーナたちが、幼い頃から遠くにあるレッスン場に通い、遊ぶ時間も惜しんでレッスンを重ねていたことも知っています。
今思えば娘と共に夢を追ったあの頃が懐かしく、いまも昨日のことのように思い出されます。
バレエは私の憧れです。
娘にバレエを習わせたのは、私自身、幼い頃バレエを習いに行きたくても叶わなかった思いを娘に託したように思います。(笑)
バレエを習わせていたママたちに聞いてみると、ほとんどがそうなんです。
もしかしたら、それは親の単なるエゴなのかもしれません。
それでも娘は一途に、いつかバレリーナになりたい、とそんな夢を抱きながら、レッスンを重ねました。
レッスンは地味で、時には過酷ですが、夢に向かってひたすらに励むバレエ少女たちの姿は、あの煌びやかな舞台と同じようにとても美しいです。
ただ、あの煌びやかな舞台に立ってバレリーナになる人はほんの一握りしかいないのが現実です。
たとえそれが現実のものにならなかったとしても、夢を追い、情熱を燃やしたあの日々と時間はかけがえのない時間だったはずです。
今はその夢と現実に生きた日々を懐かしく思いながら、いつかまた娘とくるみ割り人形の公演を見に行きたいと思います。







