芽百マミム
第4章 決断は、ある日突然ではなく静かに始まっていた

その出来事は、
私の中で「もう戻れない」とはっきり線を引いた一日だった。
長女が朝から高熱を出した。
その日は休日で、やっているのは休日診療だけ。
しかもインフルエンザが大流行している時期だった。
まさかとは思いながらも、
とにかく連れて行かなければと病院へ向かった。
想像以上だった。
午前中に受付を済ませたものの、
待合室は立っている場所もないほど人で溢れていた。
座る場所すらなく、
子どもを抱えながら、
ただ順番を待つしかなかった。
呼ばれたのは、夕方。
診察の結果はインフルエンザ。
薬を受け取り、
外に出た頃には、もう真っ暗だった。
くたくたになって家に帰ると、
夫は寝ていた。
そして目を覚ました彼の第一声は、
「俺のご飯は?」
その瞬間、
何かが静かに崩れた。
一日中、人混みの中にいて、
長時間待ち続けたせいか、
今度は私の体に異変が出始めた。
急に寒気がして、熱が上がり、
立っているのもやっとだった。
期待はしていなかった。
もう、何かを求めること自体を
諦めていたから。
それでもさすがに、
子どもがインフルエンザで、
自分も高熱が出始めているこの状況で、
責められるとは思っていなかった。
ご飯がないことに腹を立て、
彼は怒鳴り、
そして背中を蹴った。
体調の悪さと、
一日の疲れと、
その出来事が重なって、
言葉が出なかった。
怒りよりも、悲しみよりも、
ただ、呆れていた。
「ああ、もう無理だな」
その時、はっきりとそう思った。
耐えることが美徳だとも、
母親だから仕方ないとも、
もう思えなかった。
この人と一緒にいる限り、
子どもたちの安心は守れない。
そして、
私自身も壊れてしまう。
その夜、
心の中で何かが決定的に終わった。
それは叫びでも、涙でもなく、
とても静かな終わりだった。
これが当たり前かの様に
次の章では、
この決断のあと、
彼の言動や行動は止まらない。
私が実際に動き出した日々と、
現実との戦いを綴っていこうと思う。
今日もここまで読んでくれてありがとうございました。
また続きを読みに来て頂けたらうれしいです。
原宿ほしよみ堂
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