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唯真伊由

一番やりたくなかった仕事へ進んだ理由

第1章|第5話

一番やりたくなかった仕事へ
進んだ理由

エステサロンでの仕事は、
私にとって、とても感覚的な時間でした。

人の表情の変化。
空気のゆるみ。
言葉にならない思い。

それらに触れながら、
私は日々、お客様の前に立っていました。

けれど、
その時間は突然、止まります。

東日本大震災。

日常が、
一瞬で失われていく光景を
目の当たりにしました。

エステの仕事は、
続けられなくなりました。

そして私は、
命の尊さと同時に、
「もしもの時に備えること」の重さを
強く意識するようになります。

守りたいものがある。
残したい未来がある。

そのために、
現実的な支えが必要なのだと。

そうして私は、
それまで一番やりたくなかった仕事
保険の営業の世界へ
飛び込みました。

自分でも不思議でした。

向いていないと思っていたはずなのに、
あの頃の私は、
驚くほど迷いなく
その世界に入っていったのです。

まるで、
「今はここに立つ時だ」と
決められていたかのように。

外資系の保険営業。

数字。
契約。
成果。

そこは、
正解がはっきりしている世界でした。

結果を出せば評価される。
数字がすべてを示してくれる。

私はその分かりやすさに、
どこか救われていたのだと思います。

保険の仕事で向き合ったのは、
やはり人の人生でした。

病気。
老後。
家族のこと。
もしもの時の不安。

私はここでも、
自然と話を聞く側に回っていました。

契約の話より先に、
その人が何を怖れているのか。
何を守りたいのか。

それを知ろうとしていました。

不思議なことに、
話を重ねたあとのほうが、
決断は静かに、
でも確かなものになっていきました。

お客様が納得した表情で
サインをする姿を見るたび、
私は思っていました。

「今は、この仕事を
ちゃんとやる時なんだ」

結果も出て
評価もついてきました。

私は、
安心して任せられる人、
きちんと対応する人として
見られるようになっていきます。

その役割を、
私は拒みませんでした。

ただ、
数字と現実の世界に身を置く中で、
私は少しずつ
感覚に蓋をしていきました。

空気を読むこと。
余韻を感じること。
言葉にならない違和感。

それらは、
ここでは
あまり必要とされなかったからです。

私はまた一つ、
「ちゃんとしている私」を
積み重ねていきました。

それが、
この先どんな形で
自分自身に返ってくるのか。

この時の私は、
まだ知りませんでした。

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