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あぐり

お金だけのために人を押し除ける職場を離れたい・・・。

縛られた足をほどくとき ― 雷水解・四爻が教える「正しい離れ方」

人はときに、
「お金のため」「生活のため」「今さら辞められないから」
そうした理由を積み重ねながら、
自分でも気づかぬうちに、心の足元を縛ってしまいます。

お金を稼ぐためなら、人を押しのける。
成果のためなら、誰かの尊厳に目をつぶる。
そんな価値観が当たり前のように漂う職場に身を置きながら、
それでも「ここにいなければ生きていけない」と、
自分を納得させ続けてはいないでしょうか。

今回ご紹介するのは、
「お金を稼ぐためなら、人を押しのけるような職場にとどまるべきか」
という問いに対して立てられた易、
雷水解(らいすいかい)・四爻のメッセージです。

雷水解 ― 凍ったものがほどけるとき

雷水解は、「解ける」「ほどける」「緊張が解消される」卦。
冬の終わり、雷雨が大地を打ち、
雪解け水が流れ出すような象を持ちます。

それは、
長く続いた我慢や抑圧が、
ある日、自然と限界に達する瞬間。

この卦が出るとき、
人はもう「耐えるだけの時期」を終えつつあります。

四爻の言葉 ―「而の拇を解く」

雷水解・四爻の爻辞は、
とても静かで、しかし決定的な言葉です。

「而の拇を解く。朋至りて斯れ孚す。」
――足の親指を縛るものを解け。
そうすれば、真心の通じ合う仲間が現れる。

足の親指とは、
私たちが立っている「基盤」「立場」「依存」です。
そこが縛られていると、人は前にも後ろにも進めません。

つまりこの爻は、こう告げています。

あなたを縛っているのは、外の状況ではない。
「ここにいなければならない」という思い込みだ。

解くべきは「困難」ではなく「縁」

雷水解・四爻が教えるのは、
困難と戦え、ということではありません。

解くべきは、
あなたの価値観をすり減らし、
倫理を曇らせ、
心を硬くさせる 不正な結びつき です。

人を押しのけなければ成り立たない関係。
恐怖や競争で縛られた居場所。
「仕方ない」と自分を説得し続ける日々。

それらは、
あなたの足元に絡みついた縄なのです。

「朋至りて斯れ孚す」― 孤独な解放ではない

大切なのは、
雷水解・四爻が 孤立を勧めていない という点です。

縛りを解いたあとには、
必ず「朋」が来ると、易は言います。

それは、
誠実さを理解してくれる人。
人を踏みにじらずに働ける場。
価値観を共有できる仲間。

今はまだ見えなくても、
縛りを解いた人にだけ、
その縁は自然と引き寄せられてくるのです。

とどまるべきか? 離れるべきか?

この卦の答えは、はっきりしています。

「とどまるべきではない。」

けれど同時に、
「衝動的にすべてを壊して飛び出せ」とも言いません。

まず、心の中で縛りをほどくこと。
迎合しないこと。
自分の線を引くこと。

解放は、静かに始めるほど、
傷が少なく、後悔も残りません。

解は、敗北ではない

人を押しのけて得るお金より、
自分を裏切らずに得る一日。

雷水解・四爻は、
それを選び取る勇気を
「正しい解放」と呼びます。

縛られたまま生きることが誠実なのではありません。
誠実さを守るために、離れることもまた、
立派な選択なのです。

もし今、
胸の奥で小さな雷が鳴っているなら、
それは春の兆し。

あなたの人生にも、
解けるべき結び目が、
もう見えてきているのかもしれません。

――
このような「離れるべき時」「とどまるべき時」の判断に迷ったとき、
易は、静かに、しかし正確に道を照らしてくれます。
心の違和感を抱えたままにせず、
必要な方は、どうぞご相談ください。

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