馬道 東弥
仕事も介護も両立する！と意気込んだ日｜自由を求めた私の反逆
経済的な自立
義祖父が倒れる少し前
その年の正月あたりから準備していたことがある。
調剤事務の技能取得を目指していたのだ。
無事、技能取得して働きだそうとしたら
フルタイム求人しかない。
半日でも働ける場所を探し始めたとたんに
家族にアクシデントが起きた。
自立を考えるまでは自分の希望や意思を
諦めていたことが多かった。
だが、時間は容赦ない。
我が子たちも大きくなり金銭面での不安もある。
「引き下がる気はない」
そう決意したのに、現実は厳しい。
諦めないための先手必勝
だが、私もバカのまま終わる気はない。
出産してから子どもに対する教育方針で
家族の理解を得られず孤立感満載だった私。
夫には自分の気持ちを伝えるが
同居という環境もあって
わたしの味方というより中立な立ち位置を選んだ。
もし、私が主人の立場だったら
同じことをするかもしれない。
そう感じると同時に
明らかに私に《人を見る目がなかった》ことを
痛感させられた。
次は同じ失敗をしない。
家族の誰よりも先に介護という情報に詳しくなり
先手を打つ。
こき使われる前に、私が使う側になればいい！！と、
攻めの姿勢を貫くことにした。
予想通りの反応
調剤事務の合格証書が届くと同時に
ヘルパー２級（現在の初任者研修）の技能取得ができる場所を探し
サクッと申し込みをした後、
家族に事後報告。
予想通り、義母には感謝されたが
夫には反対される始末。
家事は？子どもは？どうするのだ？と。
先手を取りたい私は
「迷惑をかけないようにやりくりするから」
そう言って、睡眠時間を削って時間を確保した。
文句を言われないよう家族にも気を遣い、
パート勤務、子育て、妻として全力を尽くし
いい嫁を演じた。
外部からの評価はすこぶる良く
私の株価は爆上がり、
介護が終わった今でも
高値をキープしている。
介護の講座を受けるにあたり
私は口には出さないが、
夫に対して心の中で思っていたことがある。
「誰の家族を面倒みるために通うのか？」と。
しかも、費用は私のパート収入から出すのに。
当時は意気込んではいたものの
子どもへの影響や夫婦関係、
夫という存在の大きさに怯えていたため
反論はできずにいた。
しかし、夫に対するモヤモヤ感は
日に日に大きくなるばかり。
なんとしても、将来
自分が有利になるよう立ち回ってやる！という
欲望は私を動かすエネルギーとなった。
10万円の自己投資がくれた武器
なけなしのパート収入からコツコツ貯め、
やっとのことで辿り着いた10万円だった。
しかし、今となっては激安だったと思える理由がある。
いち早く情報を得て
実習で体験を積み
家族の誰よりも介護に詳しくなり、
家族内で権威と実力を手に入れることができた。
もちろん介護は私がやりたい仕事ではない。
だが、
毎日コツコツどうすれば
する側、される側
お互いが心地よく介護というものを通して
関わり合えるのかを考える機会をあたえられたことは
私にとっていざというときの必殺技となった。
そう、万が一離婚や別居をしたときに
すぐ稼ぎとして使える手段だから。
そして、必殺技の威力を一番発揮したのは10年後。
あきらめず、粘り強く継続すること。
これは、占い師という仕事をするうえでとても役に立っている。
嫌でしかたなかった体験は
誰に奪われることのない、私の宝物になったのだ。
心を優しくほどく占い時間を、鎌倉で。
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