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空馬羽津呂

実録|第四話 人に会ったあと、どっと疲れる理由

実録|人に会ったあと、どっと疲れる理由

 

その人は、

席に座ってすぐ、

深く息を吐いた。

 

「さっきまで、人と会っていて」

 

それだけ言って、

少し黙った。

 

会っていたのは、

特別な相手ではない。

仕事の打ち合わせ。

知り合いとの食事。

よくある予定。

 

「楽しかったです」

 

と、すぐに付け足した。

 

「人と会うのは、嫌いですか?」

 

そう聞くと、

首を横に振った。

 

「いえ。むしろ好きだと思います」

 

その答えは、

迷いなく出てきた。

 

話を聞いていくと、

会っている最中は問題がない。

 

笑う。

相槌を打つ。

場の空気に合わせる。

終わった直後だけ、

体が重くなる。

 

電車に乗った瞬間。

ドアを閉めたあと。

一人になったとき。

 

理由は、

思い当たらない。

 

「何か気を遣うことは?」

 

そう聞くと、

少し考えてから言った。

 

「相手に合わせるのは、

普通だと思うので」

 

声のトーンは、

落ち着いていた。

鑑定の途中、

 

「一人でいる時間はどうですか」

 

と聞いた。

 

「必要です」

と即答だった。

 

でも、

続く言葉がなかった。

終盤、

 

「疲れた、と感じるのは

どんなときですか」

 

と聞くと、

 

「帰ってから、ですね」

 

そう言って、

少しだけ笑った。

 

「会っている間は、

大丈夫なんです」

 

帰り際、

 

「今日はスッキリしました」

 

と言われた。

 

表情は整っていた。

 

それでも、

立ち上がる動きが、

ほんの少しだけ重かった。

 


 

この連載では、

壊れる瞬間ではなく、

壊れる前に現れる小さな兆しを記録していきます。

人に会って疲れること自体が、

問題なのではありません。

疲れを感じるタイミングや、

理由が分からないまま続くこと。

日常の中で、

見過ごされがちな違和感です。

※本記事は鑑定現場での観察をもとに構成しています。

※個人が特定される内容は含まれていません。

 

 

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