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阿佐霧 峰麿

心を日常に連れ戻すという技術(第三章⑨)

心にそっと触れられるようになってくると、

 

次に立ちはだかるのは、

「そのあと、どうやって日常に戻るか」

という問題だった。

 

 

 

感じることができても、

生活は待ってくれない。

 

 

仕事は続くし、

人とも関わらなければならない。

 

 

 

ここで多くの人は、

二つの極端な方向に分かれる。

 

 

ひとつは、

感じた余韻を抱えたまま

動けなくなること。

 

 

もうひとつは、

「もう分かった」と言って

何事もなかったように切り替えてしまうこと。

 

 

 

どちらも、

心にとっては負担が大きい。

 

 

だから私は、

心を“切り替える”のではなく

 

連れ戻す”という感覚を

使うようになった。

 

 

 

深く触れたあとは、

必ず現実の動作をひとつ入れる。

 

 

コーヒーを飲む。

靴を履き替える。

荷物を持つ。

エンジンをかける。

 

 

頭を使わない、

単純な身体の動きだ。

 

 

 

これを挟むことで、

心は自然に今へ戻ってくる。

 

 

 

考えを切るのではない。

 

体に戻す。

 

 

 

壊れた心は、

頭で納得させようとすると反発するが、

体のリズムには素直に従う。

 

 

 

私は運送の仕事をしていたから、

この切り替えがとても分かりやすかった。

 

荷物を持つ。

歩く。

ハンドルを握る。

 

その一つひとつが、

「今ここ」に戻る合図になる

 

 

 

不思議なことに、

心に触れたあとでも、

仕事の質は落ちなかった。

 

 

むしろ逆で、

判断が少し丁寧になり、

無駄な力みが抜けていった。

 

 

 

心を見たからといって、

感情的になるわけじゃない。

 

むしろ、

感情を暴れさせずに済む。

 

 

 

 

ここで私は、

ひとつの感覚を掴んだ。

 

 

 

心は、

生活の外に出すものではない。

 

 

生活の中に、

“薄く混ぜる”ものだ。

 

 

 

全部を分かってもらおうとしない。

 

全部を消化しようとしない。

 

 

ただ、

少しだけ意識に残したまま動く。

 

それで十分だった。

 

 

 

たとえば、

朝に違和感を感じた日。

 

「今日は薄い一日になりそうだな」

 

そう思ったら、

予定を一段階だけ緩める。

 

 

完璧を目指さない。

8割で良しとする。

 

 

 

逆に、

心が静かな日は、

少しだけ前に出る。

 

 

無理に頑張るのではなく、

“余裕の分だけ”使う。

 

 

 

この微調整を繰り返すうちに、

生活と心のズレは

驚くほど小さくなっていった。

 

 

 

 

壊れた心で生きるというのは、

特別な時間を設けることではない。

 

 

毎日の中で、

少しだけ扱い方を変えることだ。

 

 

 

深く触れたあとも、

日常へ戻れる。

 

 

日常に戻っても、

心は置き去りにされない。

 

 

この往復ができるようになると、

心はもう、

邪魔をしなくなる。

 

 

 

代わりに、

必要なときだけ

そっと合図を出してくる

 

 

 

私はようやく、

心と生活が

同じ速度で歩き始めた感覚を持てた。

 

 

立ち止まることも、

前に進むことも、

どちらも選べる。

 

 

それは、

安定ではなく、

信頼に近い感覚だった

 

 

 

そしてこの信頼が、

次の段階を可能にする。

 

 

心を日常に連れ戻せるようになったとき、

 

人はようやく、

「他者」との関係にも

同じ技術を使えるようになる

 

 

 

次は、

心を守りながら

人と関わる話へ進もう。

 

 

壊れた心で生きる技術は、

まだ、もう一段深いところに続いている。

 

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そっと寄り添える場所として、

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