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あぐり

冬至からクリスマスへ —— 太陽の光の復活への願い

冬至からクリスマスにかけての時期は、
単なる季節の節目ではありません。
それは、人類が太古から繰り返してきた「光を迎える儀礼の時間」です。

それは、
いったん弱まり、
失われかけ、
それでも再び戻ってくる
太陽の光への感謝。

「もう一度、光は帰ってくる」
その確信を、人は儀礼として刻み続けてきたのです。

有史以前に築かれたアイルランドのニューグレンジ古墳は、
冬至の日の出の光が、
石室の奥深くまで正確に差し込むよう設計されています。
文字も暦も持たない時代の人々が、
それほどまでに冬至の瞬間を重要視していたという事実は、
私たちに静かな驚きを与えます。

北欧のゲルマン人は、冬至を「ユール祭」として祝いました。
夜が最も長くなるこの時期、
彼らは“ユールログ”と呼ばれる大きな薪を焚き、
火を絶やさぬよう見守り続けたといいます。

その火は、
寒さをしのぐためだけのものではありません。
闇に抗い、
命をつなぎ、
来るべき春を信じるための火でした。

このユールログの記憶は、
今日でも形を変えて残っています。
クリスマスケーキとして親しまれる
ブッシュ・ド・ノエル——「クリスマスの薪」
綺麗に飾られた菓子には
かつて夜を越えるために焚かれた火の象徴が、
静かに息づいているのです。

古代ローマでは、12月に一週間かけて
農耕神サトゥルヌスを祝う「サトゥルナリア」が行われました。
この祝祭にも、太陽の復活を願う意味が含まれていました。

またローマ人は、
古代ペルシャの光の神ミトラを信仰し、
日が再び長くなり始めるこの時期を
「光が勝利する時」として祝福しました。

こうして見ていくと、
宗教や文化は異なっても、
人類が冬至に託してきた願いは驚くほど似通っています。

それは、
「闇は永遠ではない」
「失われたように見えても、光は戻る」
という確信。

クリスマスは、
その長い祈りの系譜の上に生まれた祝祭です。
突然現れた新しい行事ではなく、
人類が何千年もかけて育ててきた“光を信じる習慣”の結晶なのです。

だからこの時期、
理由もなく胸が揺れたり、
懐かしさや寂しさが入り混じるのは、
ごく自然なことなのかもしれません。

私たちの中にも、
太古の人々と同じように、
光を待ち、
火を守り、
夜を越えようとする記憶が、
静かに息づいているのですから。

クリスマスとは、
特別な人だけのものではありません。
迷いの中にいる人、
途中で立ち止まっている人、
まだ答えを見つけられずにいる人のために、
そっと灯される夜。

冬至を越え、
光が戻り始めるこの季節に、
あなたの中の小さな火も、
確かに生きています。

それを思い出すこと。
それ自体が、
人類が太古から続けてきた
最も静かな祈りなのかもしれません。

あなたの心にも小さな光が灯りますように。

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