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あぐり

人を大切にと言いながら威圧感のある人にどう対応したらいいか・・・

門の前に立つということ

――天火同人・初爻が示す、人間関係の限界と次の一歩――

「人を大切にしよう」
「居場所をつくることが大事だ」

そんな言葉を掲げながら、現実では忙しさを理由に問いを遮り、
苛立ちを空気として撒き散らす。
言葉と行動が一致しない上司のもとで、
心をすり減らしながら働いている人は、決して少なくない。

人を尊重すると言いながら、
その尊重が“余裕のあるときだけ”に限られているなら、
それは理念ではなく、ただの理想論だ。
理念は、最も忙しい瞬間にこそ、試される。

こうした矛盾の中で、
「もう限界だ」「続けるべきか、離れるべきか」
と自問するとき、易が示したのが
天火同人・初爻だった。

天火同人は、「志を同じくする者と、公の場で協力する」卦である。
上に乾(天)、下に離(火)。
理想と明晰さが交わり、人と人とが開かれた関係で結ばれる象を持つ。

だが、今回出たのは初爻
卦の完成形ではなく、その入口である。

爻辞はこう記されている。
「同人于門。无咎。」
――人と同じくするに、門においてす。咎なし。

ここで語られる「門」とは、
内と外を分ける境界線だ。
家の内側、感情や期待が渦巻く私的領域と、
社会という公の場との境目。

この爻が示しているのは、
「まだ中に入るな」という合図でもあり、
「もう中に留まるな」という促しでもある。

今いる職場は、
深い信頼を交わす“同人”の場ではない。
しかし、敵対する場所でもない。
だからこそ易は、「咎なし」と告げる。

期待しすぎないこと。
感情を賭けすぎないこと。
人としての一貫性を、相手に求めすぎないこと。

それは冷淡さではない。
むしろ、自分の心を守るための、
極めて誠実な態度だ。

天火同人・初爻の段階では、
「居場所を得ること」よりも、
門を開き、外を見ることが大切になる。

この職場で理解されなかったとしても、
それはあなたの価値が低いからではない。
ただ、ここが“その器ではなかった”だけだ。

易は、すぐに辞めよとは言わない。
同時に、ここに救いを求め続けよとも言わない。

今はまだ、門の前。
公としての距離を保ちながら、
静かに次の世界を見渡す時期だと教えている。

本当に志を同じくできる人は、
必ず、門の外にいる。
その人たちと出会うためには、
まず自分自身が、
「ここがすべてだ」という思い込みを手放さなければならない。

門に立つということは、
孤独になることではない。
可能性に向き合うということだ。

いま感じている苦しさは、
失敗の兆しではない。
次の同人へ向かうための、正しい違和感である。

易はいつも、
耐えろとも、逃げろとも言わない。
ただ、「今、どこに立っているか」を教えるだけだ。

そして今、あなたは確かに、
門の前に立っている。

とても自由な身で。

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