あぐり
なぜか人に好かれる人と、避けられてしまう人のちがい ――性格ではなく「行動」が人生を変える
人に嫌われたいと思って生きている人はいない。
それなのに、気づけば人が離れていく。
特に悪いことをした覚えもないのに、静かに距離を置かれる。
「自分はどこか欠けているのだろうか」と胸の奥が痛む。
けれど、それは性格の欠陥ではない。
直せないものではなく、行動のクセなのだ。
無意識に繰り返している“たった三つの習慣”が、
あなたの魅力にベールをかけているだけかもしれない。
1 自分の話ばかりしてしまう人
相手がパリ旅行の話をしている。
つい、
「私も先月行ったのよ。ルーブルで……」
と重ねてしまう。
悪気なんてない。むしろ話題を広げているつもり。
けれど、相手はこう感じているかもしれない。
――私の話は、聞かれなかった。
会話はキャッチボールだ。
自分のボールを投げるばかりでは、いつか相手は手を引く。
相手の言葉が終わるまで待つ。
「面白いね、それで?」と問いかける。
そのあとで、自分の経験を“関連づけて”差し出す。
人は、自分に関心を向けてくれる人を好きになる。
あなたが静かに相手の話を受けとめた、その姿勢そのものが、
もうすでに愛される行動なのだ。
2 否定から入ってしまう人
「そのレストラン素敵だったよ」
「いや、高いし他にもっと良いところがあるよ」
アドバイスのつもり。
正しい視点を示しているつもり。
けれど、毎回否定に始まる言葉は、
相手の心に小さな傷を残していく。
誰かの努力や喜びに、
「まず認める」という扉が閉ざされてしまうからだ。
意見を否定すること自体は悪ではない。
ただ、順番がある。
「なるほど、そういう考え方もあるね」
一度受けとめる。
そのあとで、自分の意見をそっと置く。
信頼とは、相手の世界を踏みにじらない勇気でできている。
この順序を守るだけで、空気はやわらぎ、
本音と本音が行き交う場が生まれる。
3 感謝を表現しない人
心の中では「ありがとう」と思っているから。
親だから、店員だから、同僚だから――当然だと思ってしまうから。
けれど、言葉にしなければ伝わらない。
人は心を読めない。
「ありがとう」と声にすることは、
相手の存在を世界の中で“見つける”行為だ。
その一言だけで、
スタッフは丁寧に働きたくなる。
同僚はあなたのために力を貸したくなる。
親の声の向こうで、長い時間が少しだけ癒える。
感謝は、関係を繋ぎ直す魔法ではなく、
関係の土台に灯る“あかり”だ。
消えていると気づかないほど、見えなくなる。
行動を変えると、空気が変わる
歳を重ねたから変われないのではない。
人付き合いが苦手なのは、生まれつきではない。
無意識の行動に光が当たった瞬間から、変化は始まる。
一週間でいい。
今日あなたを助けてくれた誰かに、
コンビニで袋を渡してくれた店員に、
「ありがとう」をひとつずつ置いてみてほしい。
相手に興味を持つ。
感謝を表明する。
否定の前に受けとめる。
その三つだけで、
あなたの周りの空気は、ゆっくりと、しかし確実に変わる。
人間関係は鏡だ。
鏡の前で表情を変えると、映る景色も変わるように、
あなたの行動が変われば、世界の表情が変わる。







