唯真伊由
三つの柱を抱えた日々
第2章|人間関係・役割編
第5話 三つの柱を抱えた日々
結婚相談所のカウンセラーとして働き、
その後、婚活講師として独立し、
さらに保険代理店の仕事も並行する。
振り返れば、
私はいつの間にか、
いくつもの役割を同時に抱えていました。
どれも中途半端にしたくなかった。
どれも、必要だと思って始めたことでした。
結婚相談所の現場では、
人の人生の選択に立ち会い、
婚活講師としては、
女性たちが自分を取り戻していく過程に寄り添う。
保険の仕事も、
現実を守るための大切な柱でした。
けれど、その頃の私は、
一人でした。
支え合う相手がいるわけでもなく、
生活の責任も、
感情の整理も、
すべて自分一人で引き受けていました。
そこに重なったのが、
母の異変でした。
「何かおかしい」
そう感じる出来事が増え、
病院や施設と関わる時間が
一気に増えていきます。
仕事の合間に連絡を受け、
判断を迫られ、
家族として向き合う。
気がつけば、
私の中には
三つの柱が立っていました。
仕事。
母のこと。
生活を守る責任。
本当は、
私はずっと前から
自分の中で決めていたのだと思います。
「二つまでなら、何とかなる。
三つは、無理だ。」
それでも、
その線を越えてしまったのは、
どれも手放せなかったからでした。
やりがいがあった。
必要とされていた。
誰かの役に立っている実感もあった。
けれど、
自分の心と体が、
静かに悲鳴を上げていることを、
私は見ないふりをしていました。
どれも大切だからこそ、
選べなかった。
そして同時に、
「このままでは続かない」
ということも、
はっきり分かっていました。
強くなりたいわけではない。
頑張り続けたいわけでもない。
ただ、
これ以上、
自分を削りながら
人の人生に関わり続けることはできない。
そう思い始めていたのです。
このときの私は、
まだ答えを持っていませんでした。
ただ、
何かを手放さなければならない
その地点に立っていたことだけは、
確かでした。
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最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
日々ふと心に触れた気づきや、
感じたことをXにそっと綴っています。







