あぐり
媚を売り声の大きい人が跋扈する組織に残る意味はありますか?
媚を売り声の大きい人が跋扈する組織に残る意味はありますか?
腐った土に、根を張り続けなくていい
――山風蠱 四爻が告げる「去る勇気」の意味
媚を売り、声の大きな人が企画を占領し、
独りよがりで独善的な人が、良い仕事や権限を独占していく。
そんな組織に身を置き続けることに、違和感や虚しさを覚えたことはありませんか。
「まだ自分は完璧ではない」
「もう少し我慢すれば、状況は変わるかもしれない」
そう自分に言い聞かせながらも、
この場所にいて本当に成長できるのか、
むしろ大切な何かが削られていくのではないか――
そんな不安を抱えている方も多いでしょう。
この問いに対して、易を立てたところ出たのが
山風蠱(さんぷうこ)四爻でした。
蠱とは、「腐敗」「内部からの乱れ」を意味する卦です。
山の下に風が入り込み、見えないところで物が腐っていく。
この卦が示す問題は、個人の努力不足ではありません。
組織の構造そのものが、すでに歪みを抱えているということです。
四爻の爻辞はこう記されています。
「裕父之蠱。往見吝。」
――父の蠱を緩める。進めば、吝を見る。
ここでいう「父」とは、
その組織が長年引き継いできた価値観や体質、
権力の使われ方や評価の基準を指します。
四爻は、「腐敗を正そうとする位置」ではありますが、
それを本気で変えられる力は持っていません。
だからこそ、「裕(ゆる)む」――
曖昧に関わり、期待を残したまま中に留まる姿勢を取ってしまう。
しかし易は、そこに厳しい判断を下します。
そのまま進めば、吝(後悔・不毛)を見ると。
つまり、
「そのうち変わるかもしれない」
「自分が頑張れば何とかなるかもしれない」
そう思って深く関われば関わるほど、
時間も気力も、静かに削られていくという警告なのです。
この卦が恐ろしいのは、
能力そのものが奪われるのではなく、
感覚が鈍っていくことにあります。
正直さや誠実さが評価されず、
媚や自己主張ばかりが得をする環境に長くいると、
「真面目にやる意味」がわからなくなってくる。
それこそが、蠱の最大の害です。
山風蠱四爻は、
「今すぐ戦え」とも
「感情的に辞めろ」とも言いません。
示しているのは、
ここを自分の成長の場だと思わないこと。
期待を手放し、距離を取ること。
今はまだ自信がなくても構いません。
仕事が完璧にできないと感じていても構わない。
それは、あなたの資質の問題ではなく、
土壌の問題である可能性が高いからです。
どんな種でも、腐った土では健やかに育ちません。
良い土に移れば、同じ種でも、驚くほど伸びていきます。
去ることは、逃げではありません。
自分を守り、育てるための、静かな決断です。
山風蠱四爻は、
「腐ったものを無理に抱えて生きなくていい」
そう語りかけています。
あなたが感じている違和感は、
すでに答えを知っている直感です。
易は、その感覚を否定していません。
焦らず、しかし自分を欺かずに。
次の場所を見据える準備を始める。
それこそが、今できる最も誠実な選択なのかもしれません。







