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あぐり

「手の届かぬ人に恋してしまいました… 」

人は、ときに
手の届かぬ星に恋をします。

画面の向こう、舞台の上、
言葉や表情の断片だけを通して知る存在。
けれど、その一瞬の輝きが、
胸の奥に長く残る火を灯してしまうことがある。

「憧れの人に出会えるでしょうか」
そんな問いを抱いて、この方は易を立てました。
相手は少し名の知られた芸能人。
個人的な接点はなく、
唯一見えた現実的な糸――
“知り合いを通じた紹介”も、すでに断たれている。

それでも、想いは消えない。
できることなら、近づきたい。
できることなら、恋をしたい。

この切実な心に対し、
易が示した答えは
雷風恒(らいふうこう) 上爻でした。

「恒」とは、
雷が鳴り、風が吹き続けるように、
移ろう世界の中でなお失われないものを指します。
一時の情熱ではなく、
時間に耐え、日常に根を下ろす力。

恋の卦として見れば、
とても美しく、誠実な象意です。

しかし――
ここで重要なのは「上爻」であること。

上爻は、
物事が行き着くところまで行った地点。
積み重ねが極まり、
もはや同じやり方では前に進めなくなる場所です。

雷風恒・上爻は告げます。

「変わらぬ想いに執着しすぎると、
それは“生きた恒”ではなく、
“止まった恒”になる」

この恋は、すでに
・直接会う道はなく
・縁を結ぶ橋も閉ざされ
・それでも想いだけが残っている

――動かぬ構図の中にあります。

ここで易が戒めているのは、
「想い続けること」ではありません。
むしろ、
**その想いを“特定の相手に固定すること”**です。

芸能人という存在は、
一人の人間であると同時に、
多くの人の夢や理想を背負った象徴です。

雷風恒・上爻が静かに示すのは、
彼その人よりも、
彼に投影された“あなた自身の理想”

こんな感性に触れていたい。
こんな世界を生きてみたい。
こんな輝きに、並び立つ自分でありたい。

その想いは尊く、
決して否定されるものではありません。

ただし――
易はこう言います。

「その理想を、誰か一人に縛りつけてはならない」

恒とは、本来、
外の誰かに依存しない、
内側に根を持つ持続です。

今、なすべきことは
無理に近づこうとすることでも、
縁を取り戻そうと動くことでもありません。

その憧れが生まれた
自分自身の核を、現実の中で生き直すこと。

不思議なことに、
雷風恒の教えに従い、
「掴む恋」を手放し、
「育てる在り方」へと舵を切った人ほど、
思いがけない形で縁が動き出すことがあります。

それは、彼本人かもしれない。
あるいは、
彼が象徴していた世界そのものかもしれない。

雷風恒・上爻は、
成就か、不成就かという
単純な答えを与えません。

代わりに、こう語りかけます。

「変わらず在るべきは、相手ではない。
あなた自身の生き方である」

この卦は、失恋の卦ではありません。
むしろ、
自分を小さくしない恋を選びなさい、
という、静かで誇り高い助言です。

想いは、
掴めば壊れ、
育てれば道になります。

雷と風が、
今日も止まずに巡り続けているように。

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