人はなぜ、都合のいい過去だけを信じるのか
「あの頃のほうがよかったかもしれない」
そんな考えが、
不意に頭をよぎることがあります。
もう戻りたいわけではない。
でも、なぜか今より輝いて見える。
不思議なものです。
実際には大変なこともあったはずなのに、
思い出すのは楽しかった場面ばかり。
逆に、離れた理由や苦しかった記憶は、
少しずつ輪郭がぼやけていく。
人の記憶は、
思っているほど正確ではありません。
むしろ時間が経つほど、
「今の自分に都合のいい形」
に整えられていきます。
たとえば仕事。
辞めた直後は、
解放感のほうが大きい。
もうあの忙しさに戻らなくていい、と。
ところが環境が変わり、
次の場所で壁にぶつかると、
急に前の職場がよく見え始める。
人も悪くなかった。
仕事も安定していた。
あそこにいればよかったのかもしれない。
そんな考えがよぎる。
でも
少しだけ思い出してみてください。
辞めると決めたあの日、
あなたは何を感じていたでしょう。
たぶん、理由があったはずです。
迷いながらも、
「ここを離れよう」と思うだけの何かが。
過去を美しく見せているのは、
当時の現実ではなく、
今の不安です。
人は迷ったとき、
未知より既知を安全だと感じます。
経験したことがある。
流れが分かる。
先が想像できる。
それだけで安心する。
でもここに、小さな錯覚があります。
「慣れている場所は、合っている場所とは限らない。」
慣れていただけかもしれない。
我慢できていただけかもしれない。
戻れば楽になるように感じるのは、
未来を考えなくて済むからです。
占いの相談でも、
よく似た場面に出会います。
別れた相手のことが忘れられない。
離れた環境が気になる。
話を聞いていくと、
美しく語られるのは思い出ばかり。
けれど丁寧に振り返ると、
ちゃんと離れた理由が出てきます。
寂しさはある。
でも戻ればまた苦しくなる。
どこかで、それも分かっている。
大切なのは、
過去を否定することではありません。
楽しかった記憶は、
そのままでいい。
意味のある時間だったことも、
間違いではない。
ただ一つ、
忘れないでほしいのです。
過去は、美化するためにあるのではなく、
次を選ぶための材料です。
もし今、
昔がやけによく見えているなら、
自分にこう問いかけてみてください。
私は本当に戻りたいのだろうか。
それとも、前に進む不安から
目をそらしたいだけだろうか。
人は前に進もうとするとき、
少し揺れます。
その揺れを埋めるために、
過去はとても魅力的に見える。
でも成長とは、
戻れる場所を増やすことではありません。
戻らなくても
大丈夫な自分になっていくことです。
都合のいい過去に気づいたときは、
前に進もうとしている合図です。
安心よりも、
変化を選ぼうとしている証拠。
だから過去は振り返っていい。
ただし、引き返すためではなく、
方向を確かめるために。
そうして選び直した一歩は、
きっと静かに、
でも確実に未来を変えていきます。
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