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あぐり

愛する限り愛せ 愛はすべての創造の源 クララとシューマン

ロベルト・シューマンはロマン派を代表する作曲家。
内省的で、詩を音に変えるような人でした。
その妻クララは当時ヨーロッパ屈指の天才ピアニスト。少女時代から神童として舞台に立ち、父フリードリヒ・ヴィークによって徹底的に教育されました。

物語は、師弟関係から始まります。
ロベルトはクララの父の弟子でした。やがて彼は、まだ十代のクララに恋をする。
ここからが波乱です。
父は猛反対。理由は単純で、かつ現実的。
「売れない作曲家に娘を渡せるか」ということ。

二人は八年に及ぶ裁判闘争を経て、ついに結婚します。
恋愛が法廷闘争になるというのが、いかにも19世紀ヨーロッパの厳格さを物語っています。
1840年。結婚の年。
この年、シューマンは驚異的な創作力を爆発させます。
いわゆる「歌曲の年」。
《ミルテの花》《詩人の恋》など、愛がそのまま音楽になった。
愛は創造の触媒になったのです。

科学的に言えば、強い情動は神経系を活性化させ、創造性を一時的に押し上げる。
ロマン派的に言えば、魂が開いた。
しかし物語は光だけではありません。
シューマンは次第に精神を病みます。幻聴に苦しみ、1854年、ライン川へ身を投げる。救助されるものの、精神療養施設に入院。そのまま生涯を終えます。

その後のクララはどうなったか。
彼女は八人の子どもを抱えながら演奏活動を続け、夫の作品を世に広め、さらにはヨハネス・ブラームスとの深い精神的結びつきも築きます。
クララは単なる「天才の妻」ではありません。
彼女自身が音楽史に残る存在でした。

シューマンは内なる世界を掘り下げた作曲家。
クララは外の世界で音楽を生かし続けた人。
内と外。
夢見る者と現実を支える者。
二人でひとつの円環のようです。

芸術家の人生は、作品そのものと同じくらいドラマチック。
彼らの関係は「純愛」などという平板な言葉では足りません。
それは、互いの才能を信じ切った、知的な同盟でもありました。
もし音楽で彼らを感じたいなら、《トロイメライ》や《献呈》を静かな夜に聴いてみるといいでしょう。
旋律の裏に、若い二人が裁判所の外で未来を信じていた気配が、かすかに震えています。
愛は芸術を生み、芸術は愛を育てる。
時間を超えて。
歴史を知ると、音楽はただの音ではなくなります。
それは生き延びた心の記録です。

愛とは感傷ではない。
それは意志であり、持続であり、他者の才能を信じ続ける覚悟である。
クララは愛を“感じる”だけでなく、愛を“遂行”した。
シューマンは愛によって創作の扉を開き、
クララは愛によってその創作を未来へ運んだ。
だから彼らの音楽は今も生きている。
愛する限り、愛せ。
それは感情の命令ではない。
創造の掟である。

そして彼らの音楽は語りかけます。
「愛する限り愛せ」

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