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あぐり

必ず売れると言われたのに…

「必ず売れる」と言われ、高額な講座料を支払った。けれど現実は、静まり返った山のように、何も動かない。成果は出ず、心には焦りと怒りが渦を巻く。そんなご相談に対して立った卦が、艮為山(三爻)でした。

艮為山とは、山が二つ重なる卦です。山は動きません。進まず、退かず、ただそこに在る。易において「艮」は“止まる”という意味を持ちます。ところが三爻の辞は穏やかではありません。

「艮其限。列其夤。厉薰心。」

腰を止めようとして、背骨が裂ける。危うくして、心が焼ける。

ずいぶん激しい言葉です。

これは、動こうとする衝動と、止まろうとする理性が、体の中心でせめぎ合っている状態を示します。怒りを爆発させたい。しかし同時に、冷静であろうと自分を押さえつけている。その結果、心の奥が熱を帯び、じわじわと苦しくなる。

「訴えるべきでしょうか?」という問いは、もっとも自然な反応です。けれど艮三爻は、今すぐ外へ向かって動くな、と告げています。なぜなら、まだ山の内部で葛藤している段階だからです。

法律の世界では、「結果が出なかった」ことと「詐欺である」ことは同じではありません。詐欺が成立するためには、最初から欺く意図があり、虚偽の事実を告げ、それによって金銭を騙し取ったという証拠が必要です。「必ず売れる」という言葉が法的な保証だったのか、単なる誇張表現だったのか。ここを冷静に見極める必要があります。

艮の教えは、まず止まれ、です。止まるとは、敗北ではありません。呼吸を整えること。感情を一旦、静かな岩の上に置くこと。

契約書はどうなっているか。募集ページの文言は保存しているか。メールのやり取りは残っているか。同様の受講生はいるか。これらを整理する作業は、復讐ではなく、事実の確認です。

同時に、もう一つの問いも浮かび上がります。なぜ「必ず」という言葉が、そこまで心に響いたのか。焦り、不安、承認欲求、恐れ。もしそこに何かがあったのなら、今回の出来事は、潜在意識のパターンを照らす鏡でもあります。

これは被害者責任を問う話ではありません。誇大広告や悪質な商法は確かに存在します。しかし艮三爻は、外を裁く前に、内を整えよ、と静かに告げています。

山は急ぎません。怒りの頂で決断すれば、足を滑らせる。けれど冷静に全体を見渡せる地点に立てば、道は見える。

本当に法的措置が必要なら、証拠が整った時に、専門家に相談すればよいのです。それは怒りではなく、秩序の行為です。

今は、山の中腹。心が焼けるような葛藤のただ中かもしれません。しかしその熱は、境界線を学ぶための火でもあります。

止まる者だけが、次に正しく動ける。

山は沈黙しています。けれどその沈黙は、弱さではなく、芯の強さです。静かな岩盤の上で、自分の軸を取り戻すこと。そこからしか、本当の一歩は始まりません。

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