あぐり
価値観が違うから別れたいと言われた時…
「別れた方がいいのではないか」と言われる瞬間は、胸の奥を鋭く裂くものです。
愛があるからこそ、なおさら揺れる。
そこで立った卦が「風雷益」二爻。これは、ただの吉凶判断ではありません。心の姿勢を問う卦です。
まず「風雷益」。
上に風(巽)、下に雷(震)。
雷が動き、風がそれを広げる。勢いが生まれ、それが周囲へと波及する構図です。
「益」は“増す”“利益”と訳されますが、本質は「正しいものを増やす」という意味です。
何を増やすのか。欲望ではなく、徳や誠意、調和です。
では二爻。
易経ではこうあります。
「或益之,十朋之亀,弗克違,永貞吉。王用享于帝,吉。」
難しく見えますが、骨格は単純です。
「正しい心であれば、迷う必要はない。長く守れば吉。」
ここで大事なのは、“自分を正すこと”と“迎合すること”の違いです。
彼はあなたの生活習慣を問題視している。
それが事実として改善すべき部分なのか。
それとも、彼の理想に合わせるためにあなたが縮む構図なのか。
風雷益は、「相手に合わせて削れ」とは言いません。
「自らを整えよ」と言います。
生活習慣というのは、表面的な行動の問題に見えて、実は“生き方のリズム”です。
夜型か、朝型か。
散らかす人か、整える人か。
食や時間の使い方。
それはあなたの“生命のテンポ”そのもの。
二爻は中央にあり、バランスの位置です。
極端に振れるな、と言っています。
愛があるなら、まずやるべきことはひとつ。
「彼に合わせる」でも
「私はこのままでいい」と突っぱねることでもない。
自分の生活が、自分の未来を支える形になっているかを静かに見直すこと。
もし改善が自分の成長につながるなら、それは“益”です。
あなたが豊かになる。
その結果、関係も豊かになる。
しかし、直してもなお「それでも違う」と言われるなら、
それは生活習慣の問題ではなく、価値観の土台が違う可能性がある。
益の卦は、与えることで増える構造です。
あなたが無理をして削れるのではなく、
あなたが整い、成熟し、それが相手にも利益になる形が理想です。
二爻は「永貞」。
一時の感情ではなく、長期の姿勢で判断せよ、と示しています。
今すぐ答えを出さなくていい。
まず三ヶ月、自分の生活を丁寧に整えてみる。
睡眠、食事、仕事、身の回り。
それを“彼のため”ではなく、“自分の軸のため”に行う。
そこでなお愛が自然に育つなら、それは本物。
どちらかが無理をしているなら、それは違う。
愛は情熱だけでなく、構造も必要です。
雷の衝動を、風が広げすぎると嵐になる。
だが整えば、追い風になる。
別れるべきかどうか。
易はそれを直接は言いません。
「あなたが整えば、道ははっきりする」と言っています。
愛は感情ではなく、人格と人格の響き合い。
あなたが整うほど、その響きは澄む。
その澄んだ音が、未来を決めます。







