ブログ

あぐり

嫌な思い出が蘇ってしまいます… 思い出の「自動再生」を止め いまへ還るために

過去の出来事は、時間の上では確かに「終わったこと」です。けれども、心の中では必ずしも終わっていない場合があります。

以前の職場で理不尽に叱責された経験や、納得できない扱いを受けた記憶が、ふとした瞬間によみがえるのは珍しいことではありません。

思い出したくないのに浮かんでくる。

忘れよう、水に流そうと自分に言い聞かせるほど、かえって鮮明になる――この現象には理由があります。

よく知られた例に「ピンクの象を思い浮かべないでください」というものがあります。

そう言われた瞬間、多くの人の頭にはピンクの象が現れます。

脳は「考えない」という命令をうまく処理できず、対象そのものを呼び出してしまうのです。嫌な記憶も同じです。

「忘れよう」と努力するほど、脳はその出来事を確認し続け、結果として反芻が強まります。

さらに厄介なのは、怒りや悔しさが自己否定と結びつきやすいことです。

「まだ怒っている自分は未熟なのではないか」と思うほど、感情は重くなります。

しかし実際には、それは心の弱さではありません。脳が「まだ終わっていない出来事」と判断しているサインなのです。

大切なのは、思い出さないようにすることではなく、「気づくこと」です。

怒りが湧いた瞬間に、「あ、また来たな」と静かに認識する。

これはメタ認知と呼ばれる働きで、感情の中に飲み込まれる自分から、一歩外に立つ視点です。怒っている自分を責めるのではなく、外から眺めるように見る。

すると、反芻は自動再生のまま続くのではなく、少しずつ勢いを失っていきます。

次に意識を「今」に戻します。嫌な記憶に囚われているとき、人は過去へ時間旅行をしています。そこで視覚・聴覚・身体感覚に注意を向けます。

「机がある」「コーヒーの香りがする」「カーペットの感触が足に伝わる」。

目に見えるもの、聞こえる音、触れている感覚を三つほど確かめるだけで、脳は現在地を再認識します。

これは過去に蓋をする行為ではありません。出来事を否定するのでも、無理に許すのでもない。ただ、過去に引き戻され続ける時間を減らしていくのです。気づき、そして今へ戻る。その繰り返しの中で、自動再生の時間は少しずつ短くなります。

記憶がよみがえるのは、「まだ終わっていない」と脳が感じているからです。だからこそ必要なのは戦うことではなく、気づくこと。そして静かに現在へ帰ることです。

今ここに戻るたびに、過去は少しずつ力を失い、やがて本当に「過ぎ去った出来事」へと変わっていきます。

  • 「ほしよみ堂」youtubeチャンネル
  • 占い師募集

占いのことなら|ほしよみ堂 > ブログ > 嫌な思い出が蘇ってしまいます… 思い出の「自動再生」を止め いまへ還るために