ブログ

あぐり

なぜ私ばかり疲れるのか ?― 不公平な職場で心を守る易の答え

職場という場所は、ときに静かな海のようであり、ときに嵐のただ中にも似ています。
同じ机に向かい、同じ時間を過ごしているはずなのに、誰かの一言や判断ひとつで空気は重くなり、人の心は波立つものです。
今回のご相談は、「上司の不安定さによって現場が混乱し、働く意欲そのものが揺らいでしまう」という切実なものでした。
体調不良を口にしながら無理を続ける上司。
感情が表に出やすく、不機嫌さが職場全体に広がってしまう。
人員配置には不公平感が生まれ、丁寧に扱われる人とそうでない人の差が見えてしまう。

こうした状況の中にいると、人はやがて自分自身を疑い始めます。
「これは私が引き寄せた現実なのだろうか」
「私の在り方が悪いのだろうか」と。

けれど易が示したのは、責任の所在を個人の心の中に押し込める答えではありませんでした。
立った卦は「地水師」。
師とは軍。すなわち集団、組織、そして統率を意味します。

地の下に水がある姿は、目に見えない感情や不満が地下水のように溜まり、やがて土台を揺らし始める状態を表します。
つまりこれは、「個人の問題」というよりも、組織そのものが統率を必要としている時に現れる卦なのです。

特に五爻は、組織の中心を示す場所。
本来であれば徳ある者がそこに立ち、人を安心させるべき位置です。
しかし五爻は同時にこうも語ります。

正しい者が率いれば軍は整う。
だが力なき者が指揮を取れば損害が出る。
現場の混乱は偶然ではありません。

指揮官の状態が、そのまま兵の動きを乱してしまうのです。
体調管理ができないまま責任を抱え込み、感情が判断に混じり、公平さが揺らぐとき、組織は静かに疲弊していきます。
だからこそ、この問いに対する易の答えは意外なほど静かです。

「すべてを背負おうとしなくてよい」。
会社全体を変えようとすれば、怒りと無力感に飲み込まれてしまいます。
けれど五爻は、小さな秩序を守る者の存在を重んじます。

感情に巻き込まれないこと。
情報を正しく共有すること。
誰に対しても態度を変えず、誠実であること。

それは派手な改革ではありません。
けれど荒れた海の中で、灯台がただ灯り続けるように、その姿勢は確実に周囲を支えます。

もうひとつ大切なことがあります。
この状況は、あなたが引き寄せた罰ではありません。
会社の制度、経営判断、人事配置。
それらは個人の潜在意識だけで動くものではないからです。

むしろ地水師は、乱れた場所に「整える目」を持つ人が現れる時でもあります。
違和感を覚えるのは、あなたの感覚が健全だからです。

そして五爻にはもうひとつの象意があります。
将が替わる。
組織の転換。配置の変化。新しい流れ。
今見えている混乱は、変化の前触れである可能性もあるのです。

戦場で怒り続ける兵は長く戦えません。
だからこそ、まずは自分の呼吸を整えること。
自分の届く範囲の人との信頼を守ること。
すべてを正そうとしなくてもよいのです。

静かな誠実さは、声を荒げる力よりも遠くまで届きます。
組織が揺れるとき、人は試されます。
けれど同時に、その人の本当の器もまた静かに形づくられていく。
混乱の中でも灯りを消さない人こそ、次の秩序を迎える準備ができているのかもしれません。

 

  • 「ほしよみ堂」youtubeチャンネル
  • 占い師募集

占いのことなら|ほしよみ堂 > ブログ > なぜ私ばかり疲れるのか ?― 不公平な職場で心を守る易の答え