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あぐり

尊敬する上司の前で、なぜか自信がなくなる ――ペンタクル・ペイジ正位置が教える「評価されるより、育つこと」

「尊敬している上司がいるんです」

そんなご相談がありました。

その上司は、仕事ができる。

周囲への思いやりもある。

厳しいところはあるけれど、その厳しさは人を萎縮させるためではなく、

人を育てるための厳しさ。

相談者は、その上司を心から尊敬していました。

ところが、その人を前にすると、なぜか自信がなくなってしまう。

本当は伝えるべきことがあるのに、

「こんなことを言って大丈夫だろうか」

「間違っていたらどうしよう」

「どう思われるだろう」

と考えてしまう。

そして気づけば、

上司の表情をうかがい、

声のトーンを探り、

何とか評価してもらおうとするような話し方になってしまう。

相談者自身も、

「もしかすると、阿るような態度になっているのかもしれません」

と話していました。

そこで、

「この上司と、どう関わっていけばいいでしょうか」

とタロットを引いたところ、

出たのは、

ペンタクル・ペイジ・正位置。

このカードを見たとき、私は、

「上司にどう見られるかではなく、目の前の仕事に意識を戻してください」

というメッセージなのではないかと感じました。

ペンタクル・ペイジは「学ぶ人」のカード

ペンタクル・ペイジには、

一枚のペンタクルを両手で持ち、

それをじっと見つめている若者が描かれています。

まだ完成された人物ではありません。

これから学ぶ人。

これから技術を身につける人。

これから経験を積み上げていく人です。

けれど、その姿には、

妙な卑屈さはありません。

「私はまだ未熟だから価値がない」

とは言っていない。

ただ静かに、

「これを学ぼう」

と、目の前のものに集中しています。

今回の相談者に必要なのも、

この姿勢なのではないでしょうか。

「私はどう見られている?」に意識が向きすぎると

尊敬する人を前にすると、

誰でも多少は緊張します。

まして、

「この人に認めてもらいたい」

という気持ちが強ければ、

相手の表情が気になります。

少し黙っただけで、

「まずいことを言ったかな」

眉をひそめただけで、

「評価が下がったかもしれない」

そんなふうに、

意識がどんどん相手へ向いていく。

すると、

本来考えるべきだった、

「今、何を報告する必要があるのか」

「仕事上の問題はどこなのか」

「自分はどう考えているのか」

ということが二の次になってしまいます。

つまり、

仕事をしているはずなのに、

いつの間にか、

「私はこの人から、どう評価されているのだろう」

という別の課題に取り組み始めてしまうのです。

尊敬と、卑屈さは違う

人を尊敬することは素晴らしいことです。

自分より経験のある人から学ぶ。

素直に助言を聞く。

間違いを指摘されたら修正する。

そういう姿勢は、

成長するために必要です。

けれど、

相手を尊敬することと、自分を相手より価値の低い存在として扱うことは違います。

「この人はすごい」

ということと、

「だから私は駄目だ」

は、まったく別の話です。

ところが自信がないと、

この二つを無意識に結びつけてしまうことがあります。

相手が立派に見えるほど、

自分を小さくしてしまう。

すると、

「どう思いますか」

「これでいいでしょうか」

「間違っていたらすみません」

と、

自分の発言の前に保険をかけるようになります。

でも、それが続くと、

相手からすれば、

「結局、あなた自身はどう考えているの?」

と感じることもあるでしょう。

ペイジは「良い生徒になれ」と言っているのではない

ここで、ペンタクル・ペイジを、

「もっと上司の言うことを素直に聞きましょう」

と読むこともできます。

けれど今回、それだけでは少し違うと思います。

相談者はすでに、

上司を尊敬しています。

むしろ問題なのは、

尊敬するあまり、

「良い部下でいなければ」

という気持ちが強くなりすぎていることです。

ペンタクル・ペイジが見つめているのは、

上司の顔ではありません。

自分が学ぶべきものです。

だから、

「上司に気に入られるにはどうしたらいいか」

ではなく、

「私はこの仕事から何を学ぶのか」

「自分は今、何を身につける必要があるのか」

「今回の経験から何を改善するのか」

そこへ意識を戻す。

それがこのカードの教えていることなのだと思います。

「評価されに行く」のではなく「仕事をしに行く」

たとえば上司へ報告するとき。

自信がないと、

「これで大丈夫でしょうか……」

「私としてはこう思うのですが……」

「間違っているかもしれませんが……」

と、どうしても弱い言葉が増えます。

でも、ペンタクル・ペイジなら、

もっと具体的です。

「現在ここまで進んでいます」

「問題はこの点です」

「私はA案がよいと考えています」

「理由はこれです」

「この部分について、ご意見をいただきたいです」

これでいい。

堂々とした人物を演じる必要はありません。

事実を整理し、自分の考えを持ち、必要なことを誠実に伝える。

その積み重ねが、

少しずつ自信になります。

顔色を読むより、具体的に聞く

上司の表情が少し曇った。

そんなときも、

「私、嫌われた?」

とすぐ自分へ引き寄せなくていい。

相手は、

単に考えているだけかもしれない。

別の案件を気にしているのかもしれない。

疲れているのかもしれない。

本当に何か問題があるのなら、

顔色から推測するより、

具体的に聞けばいいのです。

「この点で改善したほうがよいところはありますか」

「私の理解でずれている部分はありますか」

ペンタクルは、

とても現実的なカードです。

だからこそ、

空気を読むより、必要な情報を取りにいく。

それも、このカードらしい姿勢だと思います。

未熟であることと、自信がないことは同じではない

ペイジは、未熟です。

まだ知らないことがある。

まだ失敗する。

まだ経験も足りない。

でも、

それは恥ずかしいことではありません。

むしろ、

「私はまだ学んでいる途中です」

と言えることこそ、

本当の意味での強さなのかもしれません。

自信とは、

「私は何でもできます」

と思うことではありません。

分かることは、

自分の言葉で言う。

分からないことは、

分からないと言う。

間違ったら、

修正する。

そして、

また学ぶ。

その繰り返しが、

自分の足元を固めていきます。

承認を求める弟子から、自分で学ぶ人へ

今回のペンタクル・ペイジ正位置を、

私はこう読みたいと思います。

「承認を求める弟子から、自分で学ぶ人へ。」

尊敬する上司だからこそ、

「どうすれば認めてもらえるか」

ではなく、

「この人から何を学び、自分はどんな人間へ育っていきたいのか」

を見る。

そして、

上司の期待に応えるためではなく、

自分自身がより良い仕事をするために学ぶ。

その姿勢へ変わったとき、

不思議と、

相手の顔色をうかがう必要も少なくなっていくでしょう。

次に尊敬する人の前で緊張したら、

思い出してみてください。

私は評価されに来たのではない。
私は、仕事をしに来た。

ペンタクル・ペイジは、

派手な自信を与えるカードではありません。

けれど、

学び、

試し、

失敗し、

また積み上げる。

その一歩一歩から生まれる、

地に足のついた自信

を教えてくれるカードなのだと思います。

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