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星 叶夢

星 叶夢(ほし かなむ)
ほしよみ堂大阪梅田店所属

私は、どうしたらええの?④ ~「あんた、このままやったら死ぬで!」~

医療現場の考え方は、時代とともに変わっていきます。

 

私が難病に認定された頃には、すでに腎臓に異変がありました。

 

少しややこしいのですが、腎機能そのものは正常

私の場合は、腎臓の糸球体に異常があり、ネフローゼ状態になるのです。

 

詳しく知りたい方は、ご自身で調べてみてくださいね。

 

当時の私は、大量のステロイド薬を使用するため入院。

最初は安静にして、高タンパク・高カロリーの食事を取るように言われていました。

 

現在では、治療や生活指導についての考え方も変わっています。

退院して良い薬の量についてもです。

 

妊娠や出産について

当時の私にはいくつかの目安が示されていました。

臓器の状態。

そして、ステロイド薬の量。

私の場合、その目安からは外れていました。

 

既に、腎臓が…。

ステロイドの量も今以上に減らせない

 

それでも私は、

子どもが欲しかったのです。

 

借金を抱えていた頃でした。

それでも、もう一人子どもが欲しいという気持ちは変わりません。

 

娘が4歳になった年

「今年は、家でクリスマスを過ごせる。」

そう思ったことを覚えています。

 

娘も、どこで覚えたのでしょう。

「妹が欲しい」

「弟が欲しい」

そんなことを言い始めていました。

 

ちょうどその頃、近所に住む同い年の女性が結婚し、里帰り出産をしました。

赤ちゃんを見せてもらった時です。

心の底から、

「欲しい。」

そう思いました。

 

そして――

私は妊娠したのです。

 

以前のブログにも書いた、

姑から、

「その子、まともなんやろうな?」

と言われた長男です。

 

でも私は、不思議なくらい、

「産める。」

「産めるから、妊娠したんだ。」

そう感じていました。

 

根拠なんてありません。

ただ、心の底からそう思っていたのです。

 

問題は、主治医です。

妊娠したことを伝えたら、叱られるかもしれない。

そんな不安がありました。

 

ところが、先生は叱るどころか、親身になってくれました。

病院には産科がありません。

 

主治医は阪大へ紹介することを考えていたようです。

でも、そこへ通うのは大変です。

しかも、幼い娘を連れての通院になります。

 

看護師さんにも相談しながら、通える病院を探してくれたのです。

 

その時の主治医の言葉を、私は今でも覚えています。

 

「そら、産みたいよな!」

 

先生は、候補になった病院へ直接連絡してくれました。

 

この先生は、以前のブログに登場した先生の後輩です。

 

「いい奴だから!」

転任時にそう聞いていました。

 

私が入院を嫌がること

「絶対安静にします!トイレ以外は寝て過ごします!」

 

なんて、守れもしない誓いを立てて退院したことも、カルテに書いてあったそうです。

 

そんな私のことを承知の上で、

先生は通いやすい病院を探してくれたのです。

 

幸い、電車には乗りますが、乗り換えなしで通える病院が見つかりました。

 

産科の先生は、有名な先生でした

でも、

私にとっては、最悪の医師でした。

 

ハイリスクな妊娠です。

私はどこかで期待していたのでしょう。

 

ドラマや週刊誌に出てくるように、

「一緒に頑張りましょう」

そう言って、支えてもらえるのではないかと。

 

現実は、全く違いました。

初めて診察を受けた時、鼻で笑われたように感じたのです。

 

そして言われました。

「産みたいと言うから、その気持ちは尊重します。ただ、病院は母体を優先します。」

さらに、

「あと一週間お腹にいたら助かる場合でも、その時は諦めてもらいます。それを約束できないなら診られません。」

 

私は、

「産めない妊婦」

「無謀な妊婦」

そう思われているように感じました。

 

その病院では、腎臓内科にも通うことになりました。

 

定期健診のたびに、産科の先生は内科の血液検査を見ながら、

 

「内科の方で、入院と言われないの?」

と聞きます。

 

一方、内科では産科の判断を優先しているような?

 

当時の私は、

「病院や先生同士の考え方の違いもあるのかな?」

そんなことまで考えていました。

 

産科の待合室にいると、

診察室から先生の声が聞こえてきます。

 

顔は見えません。

 

でも、他の妊婦さんには、とても優しい声でした。

つわりがひどいと相談している人には、

「無理して食べなくてもいいよ。好きなものを少しずつ取ればいいから。」

優しく話しています。

 

私とは、大違い。

 

血液検査の結果を見るだけで、ほぼ会話もありません。

相手にしていない?

 

そしてある日。

先生は私に言いました。

「あんた、このままやったら死ぬで!」

 

私は、その言葉を聞いて

自分が死ぬこと自体を怖いとは感じませんでした。

頭に浮かんだのは、

娘のことです。

 

もし、私が死んだら?

娘はどうなる?

夫は?

そして、

この借金は?

 

私がいなくなった後、

娘が夫を見ることになる。

借金を抱えて生きていくことになる。

 

そう考えたら、

涙が止まりませんでした。

 

病院の中にあった電話ボックスに入りました。

誰にも見られないように、

私は一人で泣きました。

 

あの時の私は、

「私は、どうしたらええの?」

それだけを考えていました。

 

でも、私は、

一人で泣いていました。

 

ほしよみ堂大阪梅田店  星 叶夢

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