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あぐり

もう戻れない場所に、無理に帰ろうとしなくていい

――地雷復・上爻がそっと教えてくれること

朝、目が覚めるだけで胸が重い。
今日も仕事に向かう足取りが鈍く、
理由のはっきりしない疲れが、体の奥に溜まっている。

懸命にやっているつもりなのに、結果は出ず、評価もされない。
必要な情報は届かず、
気づけば、見えないところで傷つくことばかりが増えていく。

「自分が悪いのだろうか」
「もっと頑張らなければいけないのだろうか」

そんな思いを胸に抱えたまま、
静かに易を立てたとき、出てきたのが地雷復・上爻でした。

易が語る、厳しさの奥にあるやさしさ

地雷復・上爻は、たしかに厳しい言葉を持つ爻です。
「迷って帰れない」「戦えば大敗する」「十年経っても報われない」
そんな表現に、心がさらに沈んでしまう方もいるかもしれません。

けれど、易は決してあなたを責めてはいません。

この爻が見つめているのは、
限界を越えてなお、自分を差し出し続けてきた人の姿です。

ここで言う「迷い」とは、
あなたが弱かったからでも、判断を誤ったからでもない。

ただ、
もう命が循環しなくなった場所に、誠実さだけを置き続けてしまった
その痛みを、易は見抜いているのです。

「帰る」という言葉が、重荷になるとき

復の卦は、「元に戻る」「善に帰る」卦です。
けれど上爻に至ったとき、その意味は少し変わります。

もう元の形には戻れない。
もう、昔と同じやり方では息ができない。

それでもなお、
「ここで耐えれば」
「正しくあれば」
「分かってもらえるはずだ」と、自分を押し出してきた――
その優しさと不器用さが、いまの苦しさを生んでいます。

易は言います。
帰ろうとしなくていいと。

戦わないことは、あきらめではない

地雷復・上爻が最も強く伝えているのは、
「戦うな」ということです。

声を上げて正しさを訴えること。
分かってもらおうと説明し続けること。
努力を積み重ねれば報われると信じ続けること。

それらは、本来とても尊い行為です。
けれど、相手や場がそれを受け取れなくなっているとき、
その尊さは、あなたを削る刃に変わってしまいます。

易は、静かに制止します。
これ以上、自分を傷つける方向に力を使わなくていいと。

撤くことは、逃げることではない

退く。
距離を取る。
静かに力を引く。

それは敗北ではありません。
それは、命を守る選択です。

撤退とは、
「もう十分だよ」と自分に言ってあげること。
「ここではない場所がある」と信じてあげること。

易は、あなたに勝利を求めていません。
生き延びることを願っています。

芽は、別の土で芽吹く

復の卦は、「一陽来復」。
凍えた大地の下で、小さな陽が息を吹き返す象意です。

上爻が出たということは、
いまの場所では、その芽が出ないというだけ。

芽が枯れたわけではありません。
あなたが壊れたわけでもありません。

土が違ったのです。

土を変えれば、芽はまた動き出します。
それは急がなくていい。
いまは、ただ休んでいい。

おわりに

あなたは、もう十分に耐えました。
もう、証明しなくていい。
もう、戦わなくていい。

地雷復・上爻は、罰ではありません。
それは、
「ここまでよく生きてきたね」という、
易からの静かな声です。

どうか今日は、
少し深く息をしてください。
あなたが戻るべき場所は、
過去ではなく、あなたが安心して呼吸できる未来なのです。

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