ブログ

あぐり

状況が変わると手のひらを返すような人にどう接したらいいのか?

盛運の頂で試される態度

――火地晋・上爻が示す「距離の知恵」

これまで自分を蔑ろにし、存在すら無視してきた職場の先輩が、ある日を境に態度を変える。
突然「お茶でもどう?」と声をかけてきたり、妙に親しげな距離を取ろうとしてくる。
その変化に、違和感を覚えない人はいないだろう。

表面的には関係改善の兆しにも見えるが、心の奥では「何かが違う」と感じている。
この直感こそ、実は極めて正確だ。

易に問うた答えは火地晋・上爻
晋は「進む」「昇る」「評価される」を意味する卦であり、火地晋は太陽が地上を照らし、物事が明るみに出ていく象徴である。
しかし上爻――最上位に至った地点――は、単なる成功では終わらない。

晉其角。維用伐邑。厲吉无咎。貞吝。

ここで語られる「角に晋む」とは、勢いが先端化し、鋭くなりすぎた状態を指す。
評価も力もすでに十分に得ているが、その力は「邑を伐つ」、つまり攻撃や奪取にしか使えなくなりやすい。
盛運の極みにあるがゆえに、扱いを誤れば孤立や消耗を招く――それが上爻の警告である。

この卦を、今回の職場の人間関係に当てはめてみよう。

先輩が態度を変えた理由は、好意や反省ではない。
あなたが積み上げてきた知識・経験・判断力が、相手にとって「必要な資源」として見える位置に来たからだ。
これまで無視できていた存在が、無視できなくなった。
火地晋の光が、あなたの力を照らし出してしまったのである。

だからといって、冷たく突き放すのは得策ではない。
同じ職場という「邑」の中で露骨な拒絶をすれば、対立構造が生まれ、かえって攻撃性を誘発する。
一方で、善意や和を重んじてすべてを差し出せば、「貞なれども吝なり」――正しさゆえの後悔が残る。

火地晋・上爻が求める態度は、きわめて繊細だ。

表面は穏やかに。だが中身は明確に線を引く。

誘いには一度だけ、短時間、職場の延長として応じる。
私的な感情の共有や踏み込んだ雑談には進まない。
知識を求められても、全体像や一般論までに留め、核心や判断の勘所は渡さない。
もし深く求められたなら、「業務として整理が必要ですね」「上司を通して共有しましょう」と、個人間のやり取りを制度の言葉へ戻す。

これは冷淡でも、意地悪でもない。
関係を私情から構造へ戻す行為である。

上爻が動いた先に現れる変卦は雷地豫
豫は、無理のない喜び、過不足のない調和を意味する。
この人間関係は、深める必要も、断ち切る必要もない。
適切な距離が保たれれば、相手の関心は必要な分だけで自然に収束していく。

火地晋・上爻はこう教えている。

今、あなたは奪われる側ではない。
だが、与えすぎれば削られる。
進みすぎるな、退きすぎるな。
角を丸め、整えて渡せ。

違和感を覚えた自分の感覚を、どうか軽んじないでほしい。
それはすでに、易の示す道と一致しているのだから。

  • 「ほしよみ堂」youtubeチャンネル
  • 占い師募集

占いのことなら|ほしよみ堂 > ブログ > 状況が変わると手のひらを返すような人にどう接したらいいのか?