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あぐり

「約束を反故にされた時 それでも志を失わないために」

「ある有力者からお店を出してくださるというお話をいただき、それに向けてお金も準備し、必要な勉強もしてきました。体の不自由な妹のためにもお店を出して、そこで彼女を養おうと考えておりました。けれども、予定の出店地にはいつの間にか別の方が、その有力者の後押しで出店されてしまいました。自分の実力不足だったので、私へのお話は水に流れたのだと思います。本当に辛くてどうしたらいいのかわかりません。どしたらいいのでしょうか?」

易を立てたところ、風雷益 四爻 。

胸の内を想像すると、胸の奥がきゅっと締めつけられるような思いがします。
準備をし、志を立て、しかもそれがご自身のためだけではなく、妹さんのためでもあったとなれば、その望みが形になる直前で消えたときの衝撃は相当なものです。

ただ、易という書物は不思議なもので、人間の感情の渦のただ中に、静かな灯りを置くような言葉を残しています。
今回出た 風雷益(ふうらいえき)四爻 は、その典型です。

まず卦そのものから見てみましょう。

風雷益 は「益する」「増す」「助け合う」という意味を持つ卦です。
雷(行動)に風(広がり)が乗る。
つまり、
一人の行動が周囲に波紋のように広がり、やがて利益となって返ってくる状態
を表しています。

普通、人生が崩れたように感じる時にこの卦は出ません。
むしろ、

今は見えないが、流れそのものは「増える方向」に動いている

という時に出る卦です。

次に 四爻

四爻は卦の中でも少し不思議な場所です。
地上の現実(下の三爻)から、上の世界(上の三爻)へ橋を渡す位置。
言い換えると、

「個人の努力」から「社会の流れ」へ接続する場所

です。

爻辞はこう言います。

中行、以て公に告ぐ。
圭を用うれば吉。

意味を平たく言えば、

正しい道を歩み、堂々と公に働きかければ吉。

です。

ここで重要なのは
「公に告ぐ」
という言葉です。

これは

・誰か一人に依存する
・裏の約束に期待する

そういう形ではなく、

もっと広い場所に自分の志を示すこと

を意味します。

ここで、今回の出来事を易の視点から見ると、少し別の像が見えてきます。

今回の計画は、

「有力者の後押し」

という一本の線に強く依存していました。

易の四爻はそれを静かにほどきます。

つまりこういうことです。

あなたの道は一人の有力者の判断で決まるものではない。

むしろ

もっと広い縁と流れの中に出ていくべき段階

に来ている。

だから四爻は

公に告ぐ

と言うのです。

もう一つ、この卦には大切な視点があります。

益とは「自分が得る」ことではなく
「人を益する」ことから始まる。

あなたが妹さんのために店を持とうと考えていたこと。
これは、まさに益の精神です。

だから易は

方向そのものは間違っていない

と言っています。

ただし方法が少し違った。

人生には奇妙なことがあります。

ある扉が閉まるとき、
それは

もっと大きな入口に出る前触れ

であることがある。

これは精神論ではありません。
人間社会の構造の話です。

一人の後押しで作る店は、
その人の影響から逃れられません。

しかし、

多くの人の支持で作る店は
本当の意味で自分の店になります。

四爻は、その境目に立っています。

だから、今の段階での読みはこうです。

この出来事は

「計画の破綻」ではなく
「縁の組み替え」

です。

今は痛みが強く、そう見えないかもしれません。
しかし易ははっきり

益(増える流れ)

の卦を出しています。

これはかなり珍しいことです。

最後に、少し現実的な話をします。

易の四爻が出たとき、よく起きることがあります。

それは

思いもよらない人物から新しい縁が現れる

ことです。

しかもそれは、
最初に頼っていた人より

ずっと自然で長く続く縁

だったりします。

風は目に見えませんが、
雷が鳴るとき風は必ず動いています。

あなたの行動はすでに雷のように動いている。
だから風も動き始めている。

益の卦は、
静かにそう語っています。

今は無理に元気になる必要はありません。
志を失わないことだけで十分です。

易の言葉で言うなら、

志は天に通じる。

そして不思議なことに、
人が誰かのために立てた志は、
思ったより遠くまで届くものです。

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