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美月マーシャ

人生を楽しむことに、手を抜かない|ロシアの劇場文化で感じた美意識

ロシアの長い冬。

 

劇場のクロークには、

厚いコートと雪用のブーツが、

ずらりと並んでいました。

 

客席へ向かう人たちの多くは、

劇場に入ると、

持参した靴に履き替えるのです。

 

その姿を初めて見た時、

私は少し驚きました。

 

寒い中で荷物も増えるし、

正直ちょっと面倒ではないのかな。

 

そんなふうにも思ったものです。

 

けれど何度か劇場に通ううちに、

その意味が少しずつわかってきました。

 

彼らはただ劇を観に来ているのではなく、

その時間を味わいに来ているのだと。

 

舞台が始まる前から、

もう芸術の時間は始まっている。

 

その場にふさわしい自分で向かうことも、

劇場の楽しみの一部なのだと思いました。

 

モスクワで暮らしていた時、

とても好きだったもののひとつが、

芸術や文化が日常に根づいている空気でした。

 

モスクワでは、

劇場に行くことは、

特別な人だけの趣味ではありませんでした。

 

街の中には劇場の数も多く、

バレエ。

オペラ。

オーケストラ。

子ども向けの劇。

 

そうしたものが、

暮らしのすぐそばにありました。

 

当時、子どもはまだ小さかったのですが、

子ども向けの劇や演奏会も多く、

親子で気軽に楽しめる雰囲気がありました。

 

小さな子どもだからまだ早い。

そんなことを言う人はいません。

 

子どももまた、

芸術に触れるひとりの人として、

当然のように受け入れられていました。

 

もちろん、

日本にも素晴らしい舞台や音楽はたくさんあります。

 

けれど日本では、

劇場に行くこと自体が、

少し特別な予定になりやすいように感じます。

 

一方でロシアでは、

人々と芸術との距離がもっと近い。

 

「観に行くぞ」と構えるよりも、

「週末は劇場に行こうか」

という気軽さがありました。

 

そして劇場に来る人たちは、

小さな子どもから、杖をつくご老人まで、

みんなそれぞれにお洒落をしていました。

 

すごく派手というわけではありません。

 

でも、

「この時間を楽しみに来ました」

という気配が、

服装にも表情にも出ているのです。

 

重いコートをクロークに預け、

美しい靴に履き替え、

劇場の時間へ入っていく。

 

その切り替えの美しさに、

私はロシアの人たちの美意識を見た気がしました。

 

劇場そのものも、

本当に美しい場所が多くありました。

 

歴史ある建物。

天井の装飾。

重厚なホール。

あたたかな照明。

 

開演前にそこに座っているだけで、

もうひとつの世界に入ったような気持ちになります。

 

そして劇場には、

たいていビュッフェがありました。

 

開演前や休憩時間には、

軽食をつまんだり、

お茶を飲んだり、

時にはお酒を楽しんだりする人たちがいます。

 

舞台だけではなく、

その前後の時間も含めて楽しむ。

 

劇場に来た時間そのものを、

ゆっくり味わっているように見えました。

 

幕が上がると、

人々はとても熱心に舞台を見つめます。

 

たとえ子ども向けの劇であっても、

大人も一緒になって楽しむ。

 

終演後には、

大きな拍手とともに、

「ハラショー!」という賞賛の声が必ず上がります。

 

良いものを、

良いと伝える。

 

そのまっすぐさも、

とても印象に残っています。

 

ロシアでは、

小さな頃から詩を暗唱したり、

音楽やバレエに触れたりする機会が多いようです。

 

実際に暮らしていても、

芸術が遠くのものではなく、

人の中に根づいているように感じました。

 

それは、

「教養があります」と見せるためのものではなく、

 

美しいものに触れること。

心を動かすこと。

感じたものを表に出すこと。

 

そういう感覚が、

暮らしの中にあるということです。

 

劇場に行く時間は、

ただの娯楽ではありません。

 

日常から少し離れて、

自分の感性を取り戻す時間。

 

そして、

美しいものを美しいと感じる自分を、

思い出す時間でもあります。

 

忙しくしていると、

私たちはつい、

効率や予定ばかりを優先してしまいます。

 

でも本当は、人生には、

何の役に立つかだけでは測れない時間が必要です。

 

一見、なくても済むような時間こそ、

人の心に深く効いてくるのだと思います。

 

暮らしの中に、

美しいものを受け取る余白を持つこと。

 

その時間を、

ちゃんと味わおうとすること。

 

それだけで、

日常の見え方は変わります。

 

あの極寒のモスクワで、

コートとブーツを預け、

美しい靴に履き替えて劇場へ向かう人たち。

 

その姿は今でも、

私の中に強く残っています。

 

人生を楽しむことに、手を抜かない。

 

そんなロシアの人たちの在り方が、

私はとても好きでした。

 

 

 

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原宿ほしよみ堂所属占い師

美月マーシャ

 

紫微斗数を中心に、

仕事・恋愛・人間関係のお悩みを、

「人生の設計図」という視点から読み解いています。

うまく言葉にできない違和感も、

命盤を通して見ていくと、

少しずつ輪郭が見えてくることがあります。

 

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