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あぐり

理念と実際がかけ離れた面接――ソードの2・逆位置が告げる、違和感を見逃さない勇気

「人を大切に育てる会社です」

その理念に惹かれ、期待を抱いて面接へ向かいました。

ところが、実際に面接官と話してみると、掲げられている言葉ほどには、人を育てようとする熱意も、温かな社内の空気も感じられなかったといいます。

何かが違う。

この会社で働く自分を想像しても、心が前へ進まない。

その違和感を無視せず、最終的には自分から辞退することを決めました。

ところが後になって、面接した会社から自分は「ハズレ」と評価されていたらしいと伝え聞きます。

辞退して良かった。

頭ではそう思う一方で、心には何とも言えない後味の悪さが残りました。

自分は本当に間違っていなかったのか。
相手から低く評価されたのは、自分に問題があったからなのか。

そんな問いに対して引かれたカードは、ソードの2・逆位置でした。

ソードの2は「見ないことで保たれる均衡」

ソードの2のカードには、目隠しをした人物が、胸の前で二本の剣を交差させている姿が描かれています。

どちらかを選べば、何かが動いてしまう。
真実を見れば、決断しなければならなくなる。

だから目を閉じ、判断を保留し、かろうじて心の均衡を保っているのです。

しかし、逆位置になると、その目隠しは外れ始めます。

曖昧にしていたことが、もう曖昧では済まされなくなる。

見ないようにしていた違和感が、はっきりとした形を持ち始める。

今回の面接で起きたことも、まさにこの流れだったのでしょう。

会社の理念だけを見れば、魅力的に映ります。

「人を大切にする」
「社員を育てる」
「一人ひとりを尊重する」

けれど、言葉が立派であることと、それが現場で実践されていることは、まったく別の問題です。

面接の場で感じたのは、理念の美しさではなく、その会社が実際にまとっている空気でした。

ソードの2・逆位置は、こう告げています。

あなたは、看板の言葉ではなく、その奥にある現実を見たのです。

面接は、会社だけが人を選ぶ場ではない

就職活動では、どうしても「会社から選ばれる側」という意識が強くなります。

受かるか、落ちるか。
評価されるか、されないか。

しかし本来、面接とは会社が応募者を見極めるだけの場ではありません。

応募者もまた、その会社を見極めています。

ここで安心して働けるのか。
この人たちを信頼できるのか。
掲げている理念と、実際の言動は一致しているのか。

会社にも選ぶ権利があるように、働く側にも選ぶ権利があります。

面接の場で感じた違和感を無視せず、辞退したことは、感情的に逃げたのではありません。

むしろ、自分の感覚と尊厳を守るために、冷静な判断を下したのです。

今回の面接は、失敗したのではありません。

自分に合わない場所へ入る前に、きちんと違いを見極めるという、本来の役割を果たしたのです。

「ハズレ」という言葉は、誰の価値を表しているのか

それでも、「ハズレ」と言われたと聞けば、心は傷つきます。

人間ではなく、商品のように品定めされた気持ちになるでしょう。

けれど、その言葉が表しているのは、あなたという人間の価値ではありません。

その会社がどのような尺度で人を見ているかを表しているだけです。

会社にとって都合よく動く人。
疑問を抱かず、空気に従う人。
会社側の期待する型に収まりやすい人。

そうした人を「当たり」と呼ぶ文化があるのだとすれば、そこから外れた人が「ハズレ」と呼ばれることもあるのでしょう。

しかし、ある場所に適合しないことと、人として劣っていることは同じではありません。

深海魚を野原へ連れてきて、「走れないから役に立たない」と評価しても、それは魚の価値を証明したことにはなりません。

ただ、場所が違うのです。

その会社にとって扱いやすい人材ではなかったとしても、別の職場では、誠実さや洞察力、違和感を察知する力こそが高く評価されるかもしれません。

「ハズレ」とは、普遍的な評価ではありません。

ごく狭い環境の、限られた人間がつけた、一時的な札にすぎないのです。

後味の悪さは、判断を誤った証拠ではない

辞退して良かったと思っているのに、なぜ気持ちが晴れないのでしょうか。

それは、決断に後悔しているからとは限りません。

人として雑に扱われたように感じた。
自分の誠意を踏みにじられたように感じた。
理念と実態の矛盾に失望した。

その痛みが、まだ心の中に残っているのです。

ソードの2・逆位置は、決断した後も頭の中で何度も出来事を再検討してしまう状態を表すことがあります。

「私の受け取り方が悪かったのか」
「もう少し我慢すべきだったのか」
「相手の評価のほうが正しかったのではないか」

けれど、こうして問い続けていると、相手の言葉を自分の心の中に住まわせることになります。

必要なのは、「気にしないこと」ではありません。

まずは、自分が傷ついたことを認めることです。

「私はあの言葉に傷ついた」
「人として尊重されなかったように感じた」
「理念との違いに失望した」

そう認めたうえで、もう一つの事実を思い出してください。

それでも私は、自分を粗末に扱うかもしれない場所へ入らない選択をした。

目隠しが外れたからこそ、選べた未来

ソードの2・逆位置は、心地よいカードではありません。

真実が見えるからです。

相手の本音。
理念と現実の隔たり。
自分が本当は何を感じていたのか。

見えてしまえば、もう以前のようには戻れません。

しかし、それは不幸ではありません。

目隠しが外れたからこそ、自分に合わない未来を選ばずに済んだのです。

今回の出来事は、会社から「ハズレ」と評価された物語ではありません。

立派な言葉に惑わされず、実際の空気を感じ取り、自分の尊厳を守った物語です。

面接で得たものは、内定ではなかったかもしれません。

けれど、自分の違和感を信じる力を得ました。

ソードの2・逆位置は、静かに告げています。

見えてしまったものを、見なかったことにしなくてよい。

辞退したことは、何かを失った決断ではありません。

自分を失うかもしれない場所から、早い段階で離れることができた。

それこそが、今回あなたが手にした、最も大切な答えだったのではないでしょうか。

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