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あぐり

「危機になると黙る上司についていけません――山地剥初爻が示す、信頼が崩れるとき」

今まで人を問い詰めたりしていた上司が、いざアクシデントが起きるとダンマリを決め込み、何の責任も負う態度を示さない、会社から恩恵を受けていたのに会社が危機になるとすっかり落ち込んでしまう、そんな上司についていく気持ちにならないのですがどうしたらいいのでしょうか?というご相談。

易を立てたところ、山地剥 初爻。

結論から言えば、この卦は、

「その上司を信じてついていくべきか」ではなく、
“その上司を支えている土台そのものが、すでに崩れ始めている”
と見る卦です。

山地剥とは何か

山地剥は、上に山があり、下に地がある卦です。

一見すると、山がどっしり大地の上に立っているように見えます。
しかし「剥」という字が示す通り、これは 削がれる、剥がれる、崩れていく という意味を持ちます。

立派に見えていたもの。
権威に見えていたもの。
組織の中で上に立っていたもの。

それらの外皮が、少しずつ剥がれていく。

つまり、山地剥は、
本物でない権威が、時の流れの中で露呈していく卦”
とも読めます。

今回の上司は、平時には人を問い詰め、責め、強く出ていた。
しかし、いざ会社にアクシデントが起きると沈黙し、責任を引き受ける姿勢を見せない。
会社から恩恵を受けてきたにもかかわらず、危機のときには落ち込み、支える側に回れない。

これはまさに、山地剥の象意です。

外側の権威はあっても、内側に支える力がない。
肩書きはあっても、責任を背負う胆力がない。
人を裁く言葉は持っていても、場を守る沈黙は持っていない。

そういう人物像が浮かび上がります。

初爻の意味 ― 崩れは足元から始まる

山地剥の初爻は、崩壊の始まりを示します。

剥は、上から一気に崩れるのではありません。
まず下から、足元から、静かに腐食が始まる。

初爻は、いちばん下の爻です。

つまり、組織や人間関係の「土台」に問題が出ている状態です。

この場合の土台とは、上司の能力そのものというより、

信頼です。

上司と部下の関係は、肩書きだけでは成り立ちません。
命令系統だけでも成り立ちません。

本当に人がついていくのは、
その人が危機のときにどう立つかを見たときです。

普段どれほど厳しいことを言っていても、
いざというときに責任から逃げるなら、
その人の言葉は、土台を失います。

今回、ご相談者が「この人についていく気持ちにならない」と感じたのは、単なる感情的な反発ではありません。

むしろ、かなり正確な直感です。

尊敬の土台が剥がれ落ちた。
信頼の根が抜けた。
だから、もう以前と同じ目では見られない。

山地剥 初爻は、その最初の違和感を告げています。

ただし、ここで争ってはいけない

大切なのは、山地剥は「攻める卦」ではないということです。

相手の本性が見えたからといって、
正面から責めたり、暴いたり、糾弾したりする時ではありません。

剥の時は、すでに崩れるものは崩れ始めています。
こちらが力を加えなくても、時間がその人の実像を明らかにしていきます。

だから、この卦が示す対応は、

静かに距離を取ること。
巻き込まれないこと。
自分の足場を守ること。

です。

「あなたは責任を取らないんですね」
「普段あれだけ人を責めていたのに、自分は黙るんですね」

そう言いたくなる気持ちは、よくわかります。
しかし、今それを言うと、相手は防衛的になり、問題の本質がすり替わります。

山地剥 初爻では、こちらも足元を削られやすい。
つまり、怒りに任せて動くと、自分までその崩れに巻き込まれる可能性があります。

この上司についていくべきか

易の答えとしては、

心からついていく必要はありません。

ただし、職場上の関係として、必要最低限の礼節と業務上の対応は保つ。
これが現実的です。

内心で尊敬できなくなったとしても、
それをすぐ態度に出す必要はありません。

むしろ大切なのは、

この人を人生の指針にしない。
この人の評価を、自分の価値の基準にしない。
この人の機嫌や弱さに、自分の未来を預けない。

ということです。

会社の中には、肩書きは上でも、人格的には頼れない人がいます。
危機のときに逃げる人もいます。
普段は強く見えても、実は自分より弱い立場の人にだけ強く出ていただけ、という人もいます。

その現実を見たとき、人は失望します。
けれど、その失望は悪いものではありません。

それは、幻想が剥がれたということです。

その上司を変えようとしなくてよい。
その上司に、理想の上司像を求め続けなくてよい。
ただ、その人の限界を見極め、自分の足場を固めなさい。

今後は、次の三つを意識するとよいでしょう。

まず、記録を残すこと。
危機のとき、誰が何を言い、誰が何をしなかったのか。感情的な告発ではなく、事実として残しておくことです。

次に、相談先を分散すること。
その上司だけを頼らず、別の管理職、人事、信頼できる先輩など、複数の経路を持つことです。

最後に、自分の仕事の軸を取り戻すこと。
「この人についていけない」という失望に心を奪われすぎると、自分の力まで削がれてしまいます。
上司がどうであれ、自分が何を大切に働くのか。そこへ意識を戻すことが大切です。

潜在意識の書き換えとして読むなら

この卦は、潜在意識の面では、

「権威ある人は正しい」
「上に立つ人は頼れるはず」
「上司に認められなければならない」

という思い込みが剥がれていくタイミングでもあります。

それは一見、痛みを伴います。
けれど、本当は自由への入り口です。

上司が立派でなくても、自分の価値は下がりません。
上司が責任を取らなくても、自分まで崩れる必要はありません。
誰かの未熟さを見たときこそ、自分はどう在るかを選び直せます。

アファメーションにするなら、こうです。

私は、崩れゆく権威に自分の心を預けません。
私は、静かに事実を見極め、自分の足場を守ります。
私は、誰かの弱さに巻き込まれず、自分の誠実さを選びます。

山地剥 初爻は、怒りに任せて相手を裁く卦ではありません。
けれど、見えてしまった違和感をごまかす卦でもありません。

信頼は、危機のときに試される。
そして、剥がれたものは、もう元の姿には戻らない。

だからこそ、今は相手を変えるより、
自分の足元を守ること。

その上司の背中ではなく、
自分自身の内側にある静かな判断力を、これからの道しるべにしていく時です。

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