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あぐり

パワハラ上司を温存する組織に残るべきか――地風升五爻が教える「静かに階段を昇る」道

職場で人を追い詰めて退職させたり、必要な情報を意図的に流さなかったりする上司がいる。
周囲はその人の言動によって疲弊し、ある人は心を削られ、ある人は職場を去っていった。

さらに、その上司にはさまざまなミスも発覚している。
それでも会社は、はっきりと処分するわけでもなく、問題を正面から扱うわけでもない。
まるで何事もなかったかのように、その人を温存している。

このような組織に、自分は残るべきなのか。
それとも、もう見切りをつけるべきなのか。

このご相談に対して易を立てたところ、出た卦は 地風升 五爻 でした。

地風升は、「昇る」という意味を持つ卦です。
上卦は地、下卦は風。
地の下から木の芽が伸びていくように、少しずつ、しかし確実に上へ向かっていく象です。

ここには、急激な変化や、感情的な決裂の気配はありません。
一気に飛び出すのではなく、根を張り、時を待ち、段階を踏んで上がっていく。
それが地風升の基本的な姿です。

五爻の爻辞には、

「貞しければ吉。階に升る」

とあります。

正しい道を守れば吉。
階段を一段ずつ昇るように、しかるべき場所へ進んでいける、という意味です。

この卦が示しているのは、単純に「今すぐ辞めなさい」ということではありません。
かといって、「我慢して残り続けなさい」ということでもありません。

むしろ、
この組織の低さに巻き込まれず、自分自身の階段を昇りなさい
という示し方をしています。

パワハラ上司を放置する組織には、その上司を必要としてしまう構造があるのかもしれません。
問題を見て見ぬふりをすることで保たれている秩序。
被害を受けた人よりも、組織の体面を優先する空気。
声を上げた人よりも、波風を立てない人が重んじられる文化。

そうした場所で、正義感だけで正面から戦おうとすると、こちらの心身が削られてしまいます。

だからといって、理不尽を見過ごせばよいということではありません。
地風升五爻が教えているのは、正しさを捨てることではなく、
正しさを、もっと賢く、もっと自分を守る形で使うこと です。

今、大切なのは、怒りや絶望に任せて動くことではありません。
まずは事実を整理することです。

いつ、誰が、何をしたのか。
必要な情報が流されなかったことで、どのような業務上の支障が出たのか。
ハラスメント的な言動があったなら、それはいつ、どこで、誰に対して行われたのか。
会社はそれに対して、どのように対応したのか。

感情ではなく、事実として記録しておくことが、自分を守る土台になります。

同時に、自分自身の実績や評価も整えておくことです。
この会社に残るにしても、離れるにしても、
「私はどこへ行っても通用する」
という足場をつくっておく必要があります。

転職、異動、独立、働き方の変更。
すぐに決断しなくても、選択肢を調べ始めることはできます。
それこそが、地風升の「階に升る」という動きです。

階段を昇るとは、崖から飛び降りることではありません。
けれど、地べたに座り込んで耐え続けることでもありません。

一段ずつ、自分の位置を高めていくこと。
自分の尊厳を失わない場所へ向かうこと。
そのために、静かに準備を始めることです。

もし会社に残るなら、それは組織に忠誠を尽くすためではなく、
次の段階へ進むために、今ここで得られるものを得る期間として残る、ということです。

もし辞めるなら、それは負けて逃げることではありません。
自分の心と人生を守るために、より健全な場所へ移るということです。

地風升五爻は、敗北の卦ではありません。
むしろ、静かな上昇の卦です。

理不尽な上司や、それを温存する組織に心を支配されるのではなく、
自分がどこへ昇っていくのかを見定める。

会社がどうするかではなく、
自分がどの場所で、どのように生きていくのか。

この卦は、その問いを静かに差し出しています。

今すぐ感情で飛び出す必要はありません。
けれど、長く沈み続ける場所でもないのです。

自分の正しさを守りながら、
事実を記録し、足場を整え、次の階段を見つける。

それが、地風升五爻が教える道です。
理不尽な場所に屈するのではなく、
その場所を踏み台にして、より高い場所へ昇っていく。

今は、その準備を始める時なのです。

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