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あぐり

不満を言うのに、本音は言わない人――その曖昧さに付き合い続けなくていい

職場に、いつも何か不満を抱えている人がいます。

けれど、何がそんなに嫌なのかは、はっきり言わない。

上司が嫌なのか。
仕事が嫌なのか。
誰かに腹を立てているのか。

そこは曖昧なままです。

ただ話していると、いつの間にか誰かの悪口になっている。

「別に嫌いじゃないんだけど」
「私は気にしてないけど」
「仕方ないからやってるだけ」

そう言いながら、何度も同じ不満を口にする。

聞いている側には、妙な疲れが残ります。

いっそ、

「嫌いです」
「やりたくありません」
「腹が立っています」

とはっきり言われたほうが、まだ話はわかりやすい。

なぜ、こちらはこんなにも引っかかるのでしょうか。

今回タロットを引いてみると、出たカードは

カップの7・逆位置。

このカードから見えてくるのは、

本人自身が、自分の本当の不満をまだ整理できていない

という状態です。

人は「問題を解決したい」から愚痴を言うとは限らない

カップの7は、迷い、幻想、欲望、混乱を表します。

あれも嫌。
これも気になる。
でも、自分が本当にどうしたいのかはわからない。

そんな心の霧を象徴するカードです。

逆位置では、その曖昧さから少しずつ現実へ戻ることが求められます。

今回のような場合、

上司が嫌なのかもしれない。

評価されないことが悔しいのかもしれない。

仕事そのものに納得していないのかもしれない。

あるいは、

「私はこんなに頑張っているのだから、誰かにわかってほしい」

という気持ちなのかもしれません。

けれど、それを本人自身が言葉にできていない。

だから感情は、他人の話に姿を変えます。

「あの人はこうだから」

「上司がまたこんなことをして」

「私は仕方なくやっているだけ」

しかし、本当に語られているのは他人のことではありません。

その人自身の、

満たされていない何か

なのです。

「嫌ならやらなければいい」が通じない理由

聞いている側からすれば、

「そんなに嫌なら、やらなければいいのでは?」

と思うでしょう。

ところが、こういう話に合理的な解決策を出しても、たいてい終わりません。

「本人に言ってみたら?」

「上司に相談してみたら?」

「そこまで嫌なら距離を取ったら?」

そう提案しても、

「でもね」
「そういうことじゃなくて」
「そう簡単じゃないのよ」

と話は元に戻ります。

なぜでしょう。

それは、その人が求めているものが

問題解決ではなく、感情の承認

だからかもしれません。

「大変だったね」

「あなたは悪くないよ」

「それは嫌だよね」

そう言ってもらうことで、自分の感情を確認したい。

つまり、相手は話し合いをしているように見えて、

実際にはこちらを

自分の感情を受け止めてもらう場所

として使っている可能性があるのです。

なぜ、聞いているこちらが苛立つのか

おそらく不快なのは、愚痴そのものではありません。

人間ですから、不満を言いたくなることは誰にでもあります。

問題は、

本音を言わないまま、本音を察してもらおうとすること

です。

「私はこの人が嫌です」

とは言わない。

「私は認めてもらえなくて悔しいです」

とも言わない。

その代わりに、周辺の出来事を延々と話す。

そして暗黙のうちに、

「私の気持ち、わかるでしょう?」

と求めてくる。

ここで聞き手には、ひとつ余計な仕事が発生します。

相手の感情を読み取ることです。

何を言ってほしいのか。

どこまで共感すればいいのか。

本当は何に怒っているのか。

なぜそんな言い方をするのか。

それをこちらが考え続ける。

だから疲れるのです。

言葉を聞いているだけなのに、

知らないうちに

相手の未整理な感情の整理係

にされてしまうからです。

カップの7逆位置――相手の霧に入らない

今回のカードは、同僚の心理だけを示しているのではないでしょう。

むしろ、相談した側へのメッセージとして読むことができます。

カップの7逆位置は、

曖昧さから抜けて、現実を見る

カードです。

つまり、

「その人が本当は何を考えているのか」

を追いかけ続ける必要はありません。

今日起きている現実だけを見ればいい。

また上司の不満を話している。

また誰かへの不満を口にしている。

それ以上、深読みしなくていいのです。

「そうなんですね」

「そう感じているんですね」

それくらいで止めても構いません。

同意する必要もない。

一緒に誰かを批判する必要もない。

解決してあげる必要もありません。

感情は本人に返していい

もし同じような話が何度も続くなら、

こんな問いも有効でしょう。

「それで、あなた自身はどうしたいと思っているの?」

これはかなり大切な言葉です。

それまで外へ向いていた話を、本人へ戻すからです。

「あの人が悪い」

「上司が悪い」

「職場がおかしい」

という話から、

「では、自分はどうしたいのか」

へ戻す。

もしそこで答えが出ないのであれば、

その混乱は本人が向き合うべき課題です。

こちらが代わりに答えを出す必要はありません。

優しさと「感情の引き受け」は違う

人として丁寧に接する。

困っていれば話を聞く。

それは大切なことです。

けれど、

誰かの不満を延々と聞くことが優しさではありません。

相手の本音を必死に察することが思いやりでもありません。

まして、

相手自身が整理していない感情まで引き受ける必要はないのです。

理解することと、背負うことは違います。

カップの7逆位置が教えているのは、

相手の心の霧を晴らしてあげることではありません。

その霧の中へ、

自分まで入っていかないこと。

相手の感情は、相手に返す。

自分の心は、自分で守る。

曖昧な不満を抱え続ける人との関係では、

この境界線こそが、静かで最も大切な知恵なのだと思います。

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