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曽我部 キキョウ

言葉には、化石が眠っている ~正しく書こうとして、手が止まる前に

学校に通っている間は

文章を書くというと

間違いがない、きれい、

ということを意識していませんでしたか。

 

たしかに、作文でも、読書感想文でも

レポートでも、ある程度は

点数がつけられるので

きちんと書くことも大切でした。

 

ところが大人になると、

人に読ませる文章を書く機会が滅多にない、

という人も多いでしょう。

 

それでも時には、書く必要に迫られます。

 

ここで出てくるのが

学生時代の亡霊ともいうべき、

「きちんとした文章を書かなきゃ」です。

 

日本語として正しいか。

文法は間違っていないか。

語彙は豊富か。

 

そんなことを考えていると

文章を書く手は止まりがちになります。

そして、自分は日本語が下手かも、になり、

結局「文章を書くのは苦手」と思ってしまいます。

 

これは文章を書くことが

「正解のある作業」になっている

可能性があります。

 

けれども、言葉は常に変化します。

古典文学が読みにくいのも、

誤用と言われた使い方が

辞書に載るのも、そのためです。

 

少し別の角度から見てみましょう。

 

慣用句や四文字熟語があると、

文章が知的に見える。

そう思う人は多いのではないでしょうか。

 

ただ、使いたくても、

習ったときは、意味だけを覚えるので

実際に文中に埋め込もうとすると

どうすればいいか分かりにくい。

 

しかも、覚えたはずの意味さえ曖昧です。

 

そんな方に、試してもらいたいのが

言葉の地層を発掘する、ということです。

 

一石二鳥という言葉があります。

一つのことをして、

二つの利益を得ることです。

 

意味は知っているでしょう。

けれども、なぜこの字が並んでいるか

知っていますか。

 

一つの石で、二羽の鳥を仕留める。

これが、一石二鳥を

字のままで解釈した風景です。

 

昔は石を投げて鳥を捕っていたのか。

石一個投げて、二羽の鳥って、

どういう技なの?

 

そんな風に、時代を遡って

言葉が生まれた景色を想像すると

意味がより具体的になります。

 

言葉の意味だけを覚えるのではなく、

どういう状況だったのかを

掘り下げてみるのです。

 

これが、言葉の地層発掘です。

 

時代を経てきた言葉には、

発掘できる地層があり、

興味深い化石が眠っています。

 

正しく書きたくて、手が止まるなら

まず気になった言葉を一つ、

掘ってみてください。

 

文章を書くことが

少し面白くなるかもしれません。

 

選べる道を増やす、もう一つの見方を
曽我部キキョウ

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