曽我部 キキョウ
かゆみが人を動かしている ~好奇心も恋も同じ仕組み
かゆみに耐えられる自信のある人は
世の中にどの程度いるでしょう。
かつては弱い痛みだと考えられていましたが
実際には全く別の感覚です。
身を守るための感覚の一つで
「異物を排除しろ」という警報のようなもの。
虫などが皮膚についているとき
そこを掻いたり払いのけたりすると
原因の虫を取り除ける可能性が上がります。
だから脳は「掻け」と手に命じます。
かゆみがおさまらない間は
「掻け」の命令が続くと思ってください。
実は、同じような現象は
皮膚以外のところでも起きています。
例えば推理小説を読んでいて、
「もう少し先」が気になって
後1頁だけ、を繰り返した結果
気付けば深夜や朝方になっていた、
なんて経験がある人も多いでしょう。
あるいはパズル。
数独などに代表されますが、
考えだしたら、
解けるまで続けたくなります。
もっと日常的なことで言うと、
SNSの通知はどうでしょう。
投稿した後、
誰が見てくれたか、
何人がリアクションしてくれたか
気になって何度も見ませんか。
あるいはLINEの返信が待ち遠しいとき、
何度も開いて見ては
既読になったか確認しませんか。
これらは全て同じような構造をしています。
つまり、まだ続いていることについて、
早く解決しろ、と
脳が言っているようなものです。
かゆみが続く限り、
掻きたい衝動に駆られるように、
人は知識に穴があるときや
未完了のことがあるときに
完全な状態にしたくて仕方がなくなります。
ここで気付いた方もいるかもしれませんが、
恋愛でよくいう「曖昧な関係」も
同じような構造をしているのです。
完全な状態でもなく、完了もしていない。
だから曖昧な関係にいる人は
白黒つけたくて仕方がない状態です。
このように考えてみると
人が動くのは苦しいからというよりも
この「かゆい状態」があるからではないでしょうか。
人はかゆみを嫌がりながらも、
そのかゆさに背中を押されて
進んでいるのかもしれません。
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