曽我部 キキョウ
感情は減らすものではない ~心に必要なのは流れである
人間の身体には
「五大栄養素」というものが必要で
バランスの良い食事が大事です。
学校の家庭科の授業で
そんなことを習ったな、という方も
多いのではないでしょうか。
栄養が偏ると、どれだけたくさん食べていても
栄養失調になります。
では、人間の心も同じように
「感情の栄養バランス」的なものが
必要なのでしょうか。
確かに、バランスは大事です。
しかし、食事のように
単純に喜怒哀楽を
4等分して感じましょう、とはなりません。
感情については、それぞれが
役割を持っています。
喜びなら、これは続けようという報酬。
怒りは、ここは譲るな、
境界線を守れという警報。
恐れだと、危険を避けて、
生き延びるためのセンサー。
悲しみについては、
大切なものを失ったことを受け止め、
立ち止まる時間を作るため。
怒りや悲しみといった感情は
ネガティブに思えますが
これらがなくなると
心はむしろ不健康になります。
これは、痛みを感じない病気が
危険視されるのと
少し似ています。
では、ポジティブな「楽しい」はどうでしょう。
楽しいばかりだと
いいのではないか、と思いがちです。
ところがこれも、行き過ぎると問題です。
毎日楽しいお祭り状態だと、
脳はそれに慣れてしまいます。
そしてこれまでの「楽しかったこと」に
満足しにくくなります。
また、心理学的にみると、
幸福な人ほど
ネガティブな感情がゼロではありません。
これは一時的に落ち込むことがあっても
切り替えができるということです。
こうしてみると、健康な心というのは
感情が流れている状態なのではないでしょうか。
食事で言うと、栄養素ではなく
味覚に近いのかもしれません。
甘味もあれば、苦みも、酸味もあります。
甘味だけでは飽きる、
刺激物ばかりだと味覚が麻痺する。
一つだけでは食事が豊かにならないように
感情もまた、どれかだけだと、心は豊かになりません。
心の健康に必要なのは
喜びを増やして、
怒りや悲しみを減らすことだと
思われがちです。
しかし、実際には
それぞれの感情に役割があります。
必要な場面で働き、
必要がなくなれば自然に
次の感情へ移っていける。
心に必要なバランスとは、
感情の量ではなく、
このような流れのことかもしれません。
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