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あぐり

「でも」「違うのよ」と返されるたびに疲れてしまう ペンタクルのキングが教える、言葉で争わず自分の領地を守る方法

何を話しても、微妙にカウンターを当ててくる人がいます。

こちらが相手の話を聞き、少しでも役に立てばと思って意見を伝えても、

「でも、忙しいのよ」
「そういうことじゃないのよ」
「あなたにはわからないと思う」

と、こちらの言葉を受け取る前に遮ってしまう。

今回寄せられたのは、そのような同僚Aとの関係に疲れている、というお話でした。

同僚Aは、飲み会に行っても他人の愚痴ばかり。

そこで、

「そんな人とは少し距離を置いて、新しいことを始めてみたら」

と前向きな提案をしても、Aはすぐに否定的な言葉を返してきます。

相談しているように見えるのに、こちらの意見は受け取らない。

むしろ、こちらの言葉を否定することで、自分の存在を確認しているようにすら感じられる。

良い提案をすればするほど、Aの態度が硬くなるため、

「もしかすると、私に嫉妬しているのではないか」

とも感じてしまうそうです。

この状況についてタロットを引いたところ、現れたのは、

ペンタクルのキング・正位置

でした。

このカードは、相手との言葉の応酬に勝つことではなく、

自分の価値と領域を、静かに守ること

を教えています。

相談しているようで、解決を求めていない人

愚痴を話す人が、いつも解決を求めているとは限りません。

なかには、問題を解決することよりも、

「自分がどれほど大変な状況にいるか」
「周囲がどれほど間違っているか」
「自分だけが理解されていない」

という物語を維持することのほうが、重要になっている人もいます。

そのような人に現実的な提案をすると、話が前に進んでしまいます。

しかし、本人は本当には前へ進みたくない。

前へ進むためには、自分の選択や行動にも責任を持たなければならないからです。

そのため、

「でも、時間がない」
「でも、簡単にはいかない」
「あなたが思うほど単純ではない」

と理由を並べ、提案を退けます。

Aにとっては、相談そのものが目的なのではなく、相談という形を借りて、現在の自分を肯定してもらうことが目的なのかもしれません。

なぜ、良い提案をするほど否定されるのか

相談する側とされる側の間には、ときに微妙な力関係が生まれます。

相手が的確な助言をしたとき、

「この人には状況がよく見えている」
「この人は私よりも落ち着いている」
「この人には、私にはない力がある」

と感じることがあります。

その感覚を素直に受け入れられる人もいれば、劣等感や敗北感として受け取ってしまう人もいます。

すると、提案の内容を検討するより先に、その提案をした相手を否定したくなります。

これは必ずしも、はっきりと自覚された嫉妬とは限りません。

本人にもわからないまま、

「相手の言葉を受け入れたら、自分のほうが下になってしまう」

と感じている可能性があります。

ただし、Aが本当に嫉妬しているかどうかを、外側から断定することはできません。

大切なのは、Aの心の内を正確に見抜くことではありません。

この関係のなかで、こちらが実際に消耗している

という事実です。

ペンタクルのキングは、言葉で勝とうとしない

ペンタクルのキングは、豊かさ、安定、実績、自己信頼を象徴する人物です。

彼は、自分の価値を大声で説明しません。

誰かに否定されたからといって、慌てて反論することもありません。

自分が積み重ねてきたものを知っているからです。

良い土地を持ち、生活を整え、自分の責任を果たしている人は、他人の一言によって存在価値が揺らぐことはありません。

このカードが今回伝えているのは、

Aを説得しようとしなくてよい

ということです。

相談を受ければ、真剣に考えてしまう。

良い案を思いつけば、つい伝えたくなる。

否定されれば、もっとわかりやすく説明しようとする。

けれど、相手が助言を受け取る準備をしていないのであれば、どれほど優れた提案も届きません。

むしろ、こちらが熱心になればなるほど、Aはさらに反発するでしょう。

ペンタクルのキングは、知恵を安売りしません。

受け取る意思のない人を追いかけてまで、自分の言葉を差し出さないのです。

「解決してあげる役割」から降りる

このカードが勧めているのは、冷たく突き放すことではありません。

しかし、Aの問題をこちらが解決しようとする役割からは、降りてよいのです。

愚痴を聞かされたときには、

「それは大変ですね」

と共感するだけでも十分です。

さらに話が続くのであれば、

「Aさんは、どうしたいと思っているのですか」

と、問題を本人の手元へ返します。

提案を求められた場合も、

「私ならこうします。ただ、最終的に選ぶのはAさんですね」

と伝えればよいでしょう。

そして、また「でも」「違うのよ」と返されたら、

「そうなのですね。では、私の考えとは少し違うようです」

と静かに会話を閉じる。

説得しない。
追いかけない。
わからせようとしない。

これは見捨てることではありません。

本人が自分の人生に責任を持つ余地を、本人へ返すことです。

相手の土俵に上がらない

カウンターを当ててくる人との会話では、知らないうちに勝負が始まります。

「それは違う」
「いや、私はこう思う」
「でも、こうすればいい」
「そういう問題ではない」

言葉が往復するほど、会話は問題解決から遠ざかり、どちらが正しいかという争いに変わっていきます。

しかし、ペンタクルのキングは、その競技に参加しません。

彼が大切にするのは、言葉の勝敗ではなく、

自分の時間、体力、仕事、生活、人間関係です。

飲み会へ行くたびに愚痴を聞かされ、帰宅後まで気分が重くなるのであれば、参加する回数を減らしてもよいでしょう。

仕事上の付き合いは丁寧に保ちつつ、私生活まで深く関わる必要はありません。

相手を悪人と決めなくても、距離は取れます。

「AにはAの生き方がある」
「私は私の生活を大切にする」

そう考えるだけでよいのです。

境界線とは、相手を裁くことではない

人間関係で境界線を引こうとすると、

「冷たいと思われるのではないか」
「見放したことになるのではないか」

と罪悪感を抱くことがあります。

けれど境界線とは、相手を拒絶するための壁ではありません。

自分と相手の責任を分けるための線です。

Aが愚痴を言うことは、Aの選択です。

Aが新しいことを始めないことも、Aの選択です。

Aがこちらの意見を否定することも、Aの自由です。

けれど、その話をどこまで聞くか。

どこまで助言をするか。

どこから先は関わらないか。

それを決める自由は、こちらにもあります。

Aの機嫌や反応まで背負う必要はありません。

あなたの価値は、Aに認められなくても失われない

このカードの核心は、ここにあります。

あなたの価値は、Aが認めるかどうかによって決まるものではありません。

良い提案を否定されたとしても、その提案の価値まで消えるわけではありません。

相手が受け取れないからといって、あなたの知性や感性が劣っているわけでもありません。

むしろ、相手に受け取らせようと何度も説明を重ねるほど、こちらは自分の価値を相手の反応に委ねてしまいます。

「私の言うことを認めてほしい」
「私が正しいとわかってほしい」
「せっかく考えたのだから、受け入れてほしい」

そう願い始めた瞬間、主導権はAの側へ移ります。

ペンタクルのキングは、自分の価値を他人の手に預けません。

必要なことは一度伝える。

受け取るかどうかは、相手に任せる。

そして、自分は自分の生活へ戻っていく。

それが大人の豊かさです。

言葉ではなく、態度で自分を守る

Aにカウンターを当てられたとき、同じように言葉を返す必要はありません。

「そう考えるのですね」
「私から言えることは、先ほどお伝えしたことです」
「最終的には、ご自身が納得する方法を選んでください」

それだけで十分です。

説明を増やさない。
相手の心理を暴こうとしない。
自分の有能さを証明しようとしない。

そして、必要ならば静かに席を立つ。

ペンタクルのキング正位置は、より巧みな反論の方法を教えているのではありません。

言葉で自分を守ろうとする段階を越え、態度と境界線によって自分を守ること。

それを伝えています。

相手の人生を変えようとするより、自分の時間を豊かなものにする。

相手の愚痴に付き合い続けるより、自分が本当に育てたい仕事や人間関係に力を注ぐ。

Aの土俵で戦うのではなく、自分の領地へ戻る。

そこには、誰かを言い負かすことで得られる一時的な勝利よりも、ずっと静かで確かな豊かさが待っています。

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