美月マーシャ
まだ何者にもなっていないと思っていた頃、私の中では土台が育っていた
今日は、
七十二候の「麦秋至(むぎのときいたる)」です。
二十四節気「小満」の末候にあたり、
麦が熟して、収穫の時期を迎える頃をさします。
初夏なのに「秋」と書く。
その一文字に、
季節を細やかに見つめてきた日本語の面白さを感じます。
麦にとっては、
今が実りの季節。
同じ季節でも、
どこに目を向けるかで見えてくる景色は変わります。
人の人生も、
きっと同じなのかもしれません。
外から見れば、
まだ何も始まっていないように見える時期。
けれどその奥で、
静かに季節が進んでいることもある。
私にも、
そんな時期がありました。
ロシアから帰国したあと、
パートをしていた頃のことです。
家のことをして、仕事に行って、
日々はあわただしく回っていました。
大きな不満があったわけではありません。
でも、心のどこかでずっと感じていました。
私は、
このままでいいのかな。
私には、
何ができるんだろう。
まだ占い師への道に入る前。
何者にもなっていない気がしていました。
ロシアでいろいろな女性たちに出会い、
刺激を受けたはずなのに。
帰国後の私は、
何も活かせていないように感じていました。
でも今振り返ると、
あの時間の中で育っていたものがありました。
自分の弱さを見つめる力。
「私なんて」と言ってしまう自分への理解。
焦っている人の気持ちを、
急かさずに受け取る感覚。
それらは、派手な実績ではありません。
履歴書にも書きにくいものです。
でも、今の私にとっては、
とても大事な土台になっています。
あの頃の私は、
まだ何も実っていないと思っていました。
けれど、もしかしたらあの時間は、
私にとっての麦秋だったのかもしれません。
そして今日は、射手座満月。
5月に2度目の満月となる、
ブルームーンでもあります。
満月は、抱えすぎたものに気づき、
手放すタイミングとも言われます。
今の私が手放したいものは、
まだ足りないと思うこと。
そして、謙虚のふりをして、
自分を小さく見積もることです。
以前に比べれば、
だいぶ手放してきました。
それでも、まだ時々出てきます。
「私なんて」
「もう少しできるようになってから」
「まだ足りない」
そんな声が、
玉ねぎの皮のように一枚ずつ出てくることがあります。
むいても、むいても、まだあるのですね。
なかなか手ごわいです。
でも、
それに気づけるようになったことも、
ひとつの実りです。
今はまだ形になっていなくても。
誰かに評価されていなくても。
自分では何も進んでいないように感じる日にも。
あとから振り返って、
「あの時間があったから」と思えるものがある。
麦秋至と満月が重なる今日は、
そんな静かな変化に目を向けるきっかけをくれます。
自分の中で育ってきたものを、少しだけ信じてみる。
そんな一日にしたいと思います。
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原宿ほしよみ堂所属占い師
美月マーシャ
平凡な日常に、スパイスを。
ロシアで出会った女性たち、
日本茶や季節のこと、
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