星 叶夢
星 叶夢(ほし かなむ)
ほしよみ堂大阪梅田店所属
出産はドラマ!そう雑誌に書いてあったけれど、現実は異次元
大きなお腹を抱えて、冷たい雨の中で店番をしていた私。
出産予定日が近づいても、私は義父と義母の仕事を手伝っていました。
二階建ての家を改装し、一階では義母が洋裁をし、歩いて5分ほどの商店街では義父が露店を営んでいました。二階が私たちの住まいです。
だから、お店を手伝うのは当たり前でした。
今振り返ると、ここでも自分を責めていたのかもしれません。
私は親の大反対を押し切って結婚しました。
結婚式にも出席してもらえませんでしたが、その後は和解し、嫁入り道具まで買ってもらいました。
それでも義父母には必要以上に気を使い、「手伝うのが当たり前」と思い込んでいたのでしょう。
半同居のような生活だったこともあり、実家へ帰ることもほとんどありませんでした。
だから、里帰り出産という選択肢も頭になかったのかもしれません。
ある朝、トイレで少しだけ破水したような気がしました。
頼りになるのは、雑誌で読んだ知識だけ。
「これって、もしかして……?」
初めての出産です。
何が普通なのかも分かりません。
病院は歩いて行ける距離でした。
私は一人で病院へ向かい、そのまま入院手続きを済ませました。
今思えば、
どんだけ、たくましいねん!(笑)
ところが、待てど暮らせど陣痛は来ません。
病院側も、陣痛が来ないとね〜。それならと許可を貰い。
一度家へ戻り、お風呂にまで入りました。
義母も、さすがにびっくりしていました(笑)。
その夜、夫が病院へ来てくれ、本格的な陣痛が始まりました。
思っていた以上に痛い。
私は痛みに強い方だと思っていました。
実母からも「安産だった」と聞いていましたし、雑誌に載っていたように、出産できると信じていたのです。
痛みで息を止めてしまう私に、夫は雑誌に書いてあった通り、
「深呼吸、深呼吸。」
「赤ちゃんも頑張ってるで!」
と何度も声を掛けてくれました。
でも、現実は甘くありませんでした。
私は部屋の中を歩き回り、何度もナースコールを押しました。
「潮の満ち引きと出産は関係がある。」
そんな記事を読んだ記憶があり、
「今、何時?」
と夫に何度も尋ねました。
部屋の中では、時間が止まったようにゆっくり流れていました。
そのうち実家の母の顔が浮かんできて、
「アホや……。」
「五人も産んで、信じられへんわ。」
痛みのあまり、心の中で毒を吐いていました。
よく「お母さんに感謝した」と聞きますが、その時の私は、
「絶対、嘘やろ!」
と思っていました(笑)。
ようやく、赤ちゃんが生まれました。
この時も、知っている話とは大違い!
横でいきむタイミングを、教えてくれませんでした。その時、それぞれなのですよね。
でも、出産を終えた私には、不思議な感覚が残っていました。
あれほど痛かった陣痛なのに、その痛みを思い出せないのです。
「だから、また出産できるんだ。」
そんなことを、ぼんやり考えていました。
そして、本当に大変だったのは、この後でした。
どの本にも書いていなかったお話です。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
また明日、お会いしましょう。
大阪梅田店 星 叶夢
*ペア割は7月20日まで
次回出演日 7月21日






