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美月マーシャ

モスクワの夏を思い出す、一杯のクヴァス

 

夏になると、

毎年思い出す飲み物があります。

 

ロシアのクヴァスです。

 

ロシアというと、

冬の寒いイメージが強いかもしれません。

 

実際、私が住んでいたモスクワも、

マイナス20度近くて凍えそうな日もありました。

 

けれど、

ロシアの夏は意外と暑いのです。

 

短い夏の間には、

30度を超える日も。

 

夏と冬の温度差、およそ50度。

そう思うとなかなか過酷な環境です。

 

今、ヨーロッパでは

熱波が続き大変だと聞きます。

 

特にフランスなどは、

エアコンがあまり普及していない場所も多く、

室内でも過ごしにくいようです。

 

その点、

私が住んでいた頃のモスクワは、

エアコンが普及していたので、

室内は快適でした。

 

外が暑くても、

建物に入れば涼しい。

 

でも、

ロシアの人たちは、

短い夏を本当に大事にしていました。

 

太陽の光を浴びられる季節は、

一年の中でほんの少し。

 

だからでしょうか。

 

少しくらい暑くても、

外で過ごす人が多かったように思います。

 

公園のベンチに座る人。

芝生で寝転ぶ人。

カフェのテラス席で、

ゆっくりおしゃべりする人。

 

子どもたちは噴水の近くではしゃぎ、

大人たちは日差しを避けるどころか、

むしろ浴びにいく。

 

そんなロシアの夏によく飲まれていたのが、

クヴァスという冷たい飲み物です。

 

クヴァスは、

黒パンを発酵させて作る、

微炭酸の発酵飲料。

 

黒パンで作られた飲み物。

そう聞くと、

ちょっとびっくりしますよね。

 

私も最初は、

「パンを発酵させた飲み物とは?」

と、頭の中にはてなが並びました。

 

見た目も、

黒ビールのよう。

 

材料がパンだし、

発酵している。

 

そのせいか、

駐在していた日本人の中には、

飲まず嫌いの人も多かった気がします。

 

でも、

実際に飲んでみると、

これが意外とおいしいのです。

 

香ばしくて、

ほんの少し酸味があって、

甘すぎない。

 

微炭酸なので、

暑い日に飲むと、

すっと体に入っていきます。

 

炭酸飲料ほど強くなく、

ジュースほど甘ったるくもない。


水だけでは少し物足りない日に、

ちょうどいい。

 

しかも、

ビタミンやアミノ酸なども含まれていて、

身体によい夏の飲み物として

親しまれてきたそうです。 

 

素朴でいて、

妙に忘れられない味で。

 

夏になると、

道端でも、出店でも、

よく売られていました。 

 

老若男女問わず、

本当にいろいろな人が飲んでいました。

 

ロシアの夏の日常に、

当たり前のようにあるもの。

その感じも好きでした。

 

日本にいると、

クヴァスを飲む機会はまずありません。

 

それでも、

暑くなってくると、

ふと思い出します。

 

モスクワの短い夏。

 

眩しい日差し。

外で太陽を楽しむ人たち。

 

そして、

黒パンから作られた、

あの不思議で素朴な飲み物。

 

夏の記憶というのは、

景色だけではなく、

味や香りと一緒に残るものなのかもしれません。

 

今年も暑い夏が近づいてきました。

 

きっとどこかでまた、

クヴァスの味を思い出すのだと思います。

 

 

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原宿ほしよみ堂所属占い師

美月マーシャ

平凡な日常に、スパイスを。

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日本茶や季節のこと、

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