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迦具華リオサ

「大阪人なのに?」そのひと言から始まる、私と粉もんの微妙な関係

「大阪出身です」

そう自己紹介した瞬間、
相手の顔が少し明るくなりました。

 

「じゃあ、お好み焼きにたこ焼き好きですよね?」

 

来た。

 

大阪人が、かなりの確率で聞かれる質問です。

 

私は少し間を置いてから答えました。

 

「実は、あんまり好きちゃうねん」

 

すると、相手は驚いた顔で言いました。

 

「えっ、大阪人なのに?」

 

この反応にも、もう慣れています。

 

私は大阪で生まれ育ちましたが、
お好み焼きも、
たこ焼きも、
それほど好きではありません。

 

粉もんだけではありません。

 

うどん、そば、パスタなどの麺類も、
自分から進んで食べることはほとんどありません。

 

こうして並べると、
小麦粉に何か恨みでもあるように聞こえます。

 

もちろん、
まったく食べられないわけではありません。

 

誰かに誘われれば食べますし、
食べれば「おいしい」と思うこともあります。

 

ただ、「今日、何を食べたい?」と聞かれて、
お好み焼きやたこ焼きを選ぶことは、
めったにないのです。

 

大阪では、
家にたこ焼き器があるのが当たり前だと言われます。

 

家族や友人が集まれば、たこ焼きパーティー。

 

お好み焼きをおかずに、ご飯を食べる人もいます。

 

街を歩けば、
ソースの香りが漂い、
テレビをつければ「大阪名物」として
粉もんが紹介されています。

 

そんな大阪で、
私はずっと、
粉もんとは少し距離を置いて生きてきました。

 

だからといって、
大阪が嫌いなわけではありません。

 

むしろ、
大阪の街は大好きです。

 

知らない人同士でも自然に会話が始まるところ。

 

困っている人がいれば、
つい声をかけてしまうところ。

 

最後に「知らんけど」とつければ、
だいたい話がまとまるところ。

 

たこ焼きを頻繁に食べなくても、
私の中には、しっかり大阪が染み込んでいます。

 

ところが、
そんな私にも不思議な瞬間があります。

 

街を歩いているとき、
どこからかソースの香りが流れてくる。

 

鉄板の上で、
たこ焼きがくるくると回されている。

 

普段なら、
そのまま通り過ぎるはずなのに、
その日に限って足が止まるのです。

 

「……今日は、ちょっと食べたいかも」

 

粉もんが苦手だと言い続けている私が、
突然お好み焼きを買っている。

 

そして、熱々の一個を口に入れながら思います。

 

普段は眠っている大阪人の本能が、
ソースの香りで目を覚ましたのかもしれない。

 

たまに無性に粉もんが食べたくなるのは、
やっぱり大阪人のDNAなのでしょうか。

 

知らんけど。

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