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星 叶夢

星 叶夢(ほし かなむ)
ほしよみ堂大阪梅田店所属

紹介状を渡された日世界で一番不幸に思えた日

~出産はドラマって書いてあるのに、現実は異次元⑥~

やっと退院できると喜んでいました。

ところが、おばあちゃん先生(院長先生)から紹介状を手渡されたのです。

 

「赤ちゃんのお腹が張っているから、大きな病院で診てもらってください。」

続けて先生は言いました。

「先天性の梅毒もあるからね。」

 

その瞬間、

私の頭の中は真っ白になりました。

 

新米ママの不安は、一気に膨らんでしまったのです。

 

紹介状には、何が書かれているのだろう。

 

今思えば、二度と会いたくないと思ったのは、あの紹介状を受け取った時ではなかったのかもしれません。

 

もし娘に何か異常が見つかっていたら、

私はきっと先生に感謝していたでしょう。

 

だから今でも、あの時の気持ちは複雑なのです。

 

赤ちゃんには、もう名前が付いていました。

これからは「娘」と書いていこうと思います。

 

 

新生児を診てくれる病院を探すことも、そこまで移動することも、当時の私には大きな不安でした。

 

そんな時、一番力になってくれたのは、娘とよく似た妹です。

 

妹が車を出してくれ、私たちは大阪でも有名な病院へ向かいました。

病院は、とても混雑していました。

 

診察の前に、若い男性の先生が問診をしてくださいました。

医学生だったのか、研修医だったのか、そこまでは、わかりません。

 

若い男性の先生

今回受診した経緯を説明し、ずっと心に引っかかっていた梅毒のことも尋ねました。

すると、

「お母さんの抗体があるから、陽性反応が出るのは当たり前ですよ。」

そんな説明でした。

 

 

すごくあっさりと少し笑いながらだったような気がします。

 

診察を担当した先生も

「どうして受診したのですか?」

そう言いたげな様子でした。

 

 

紹介状には、何が書かれていたのでしょう。

今となっては分かりません。

ただ、一つだけ確かなことがあります。

 

娘には、

「何の異常もありません。」

 

 

この言葉に、どれほど救われたことでしょう。

 

 

大変混雑していて、長い時間病院にいたはずなのに、その日の記憶はぼんやりしています。

 

でも、一つだけ覚えていることがあります。

 

受付で娘の名前の漢字が変換できず、困っていたことです。

読み方をお伝えすると、

 

「さすが、お母さんですね。」

そう声を掛けてくださいました。

 

 

それが、母になって初めて「親」として認めてもらえたような気がした瞬間でした。

 

 

出産はドラマって書いてあるのに、現実は異次元

― 完 ―

大阪梅田店 星 叶夢

出演日

7月27日 10:30より

7月28日 10:30より

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