茶灯ぼたん
親子って、不思議
母が入院している間、父は一人で仕事をこなしていた。
ちょうど7月下旬からの暑い時期。
今年は雨も少なく、農作物にとっては厳しい夏だった。
父は毎朝4時に起きる。
そこから2時間かけて、農作物に水をやる。
そして夜にも、また2時間かけて水やり。
8月半ばになると、今度は農作物の収穫。収穫したものを市場へ出荷するために、寝る時間まで削って働いていた。
そんな父を見かねて、私もできる限り手伝いに行った。
でも、実家までは片道1時間半。
往復で3時間。
できることには、どうしても限界があった。
そして猛暑日が続いた8月。
ついに父が、熱中症と思われる症状で倒れてしまった。
幸い、しばらくして体調は回復した。
ところが――
「もう休んで!」
と言っているそばから、父はまた農作物を市場に出す準備を始めている。
思わず私は言った。
「農作物が元気でも、自分が死んでしまったら、何のためにやってるか分からんよ‼︎」
すると父は、
「目の前で水不足で苦しそうにしてる農作物を見て、ほっとけるか‼︎」
……。
言っても休まない。
どうしたものかと思っていたら、主人がぽつり。
「そっくりやん。」
私も、そうらしい。
私の場合は、農作物ではなく、わんこ。
自分が少々体調が悪くても、わんこのためなら動いてしまう。
人から「休んで」と言われても、
「でも、この子たちが……」
となってしまう。
そう言われてみれば、確かにそうだ。
親とは違う生き方をしたい。
親とは距離を置きたい。
そう思っていた時期もあったのに。
いつの間にか、私は父に似ていた。
親子って、不思議だ。
嫌だと思っていた部分まで、いつの間にか自分の中にあったりする。
そして、たぶんこれから先――
私も子どもや孫から、
「もー、言っても聞かないんやから‼︎」
と、呆れられる日が来るのかもしれない。
いや……
きっと来るだろう。
その時は、
「おじいちゃんと一緒やね。」
って、笑われるのかもしれない。
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