あぐり
ミスの責任と、上司の感情まで背負うことは別 ――カップのキング逆位置が教えること
「仕事でミスをしてしまいました。
必要な部署への報告はすでに済ませていて、
自分としては対応が終わったと思っていました。
ところがその後、
上司から何度も細かい状況報告を求められ、
あれはどうだったのか、
これはどうしたのかと追及され続けて、
精神的にかなり追い詰められてしまいました。
どうしたらいいでしょうか」
そんなご相談がありました。
仕事をしていれば、
誰にでもミスはあります。
もちろん、
ミスをした以上、
必要な報告をすること。
問題があれば対応すること。
再発防止を考えること。
そこまでは、
仕事上の責任です。
けれど今回のお話を聞いていて、
少し気になったことがありました。
それは、
「ミスについて責任を取ること」と、
「相手が納得するまで責められ続けること」が、
いつの間にか混ざってしまっていないか
ということです。
そこで、
「今後、どのように対応していけばよいでしょうか」
とタロットを引いてみました。
出たカードは、
カップのキング・逆位置。
とても象徴的なカードでした。
カップのキングは「感情を扱う人」
カップのキング正位置は、
感情的な成熟。
包容力。
冷静さ。
思いやり。
そして、
自分の感情に振り回されず、
相手の感情にも飲み込まれない力
を表します。
感情がない人ではありません。
怒ることもある。
悲しむこともある。
不安になることもある。
けれど、
その感情をそのまま相手へぶつけたり、
感情だけで判断したりしない。
いわば、
感情の海の中でも、
舵を握っていられる人
です。
では、
そのカードが逆位置になるとどうなるのでしょう。
感情の海に、巻き込まれていないか
カップのキング逆位置には、
感情的な不安定さ。
感情による圧力。
相手を精神的にコントロールすること。
怒りや不安をうまく処理できないこと。
そして、
人の感情に巻き込まれて、
自分まで冷静さを失ってしまうこと
などが表れます。
今回の場合、
私はまず、
上司の不安や怒りまで、
相談者が背負わされていないだろうか
と感じました。
もちろん上司にも、
確認しなければならない事情があるのかもしれません。
責任ある立場だからこそ、
「なぜこうなったのか」
「また起きないのか」
と確認したい気持ちもあるでしょう。
だから、
上司が細かく聞くこと自体が、
すべて問題だとは限りません。
ただ、
必要な報告が済んでいるにもかかわらず、
同じことを何度も聞かれたり、
細部を執拗に追及されたり、
相手が精神的に追い詰められるほどのやり取りが続くのであれば、
そこにはもう、
業務上の確認だけではない何か
が混ざっている可能性があります。
「私がもっと説明すれば」と思い始めたら
人は責められ続けると、
だんだん判断が分からなくなります。
「私が悪いんだから仕方ない」
「もっと詳しく説明しなければ」
「上司が納得するまで謝らなければ」
「この人が怒っているのは、私の責任だから」
そんなふうに考え始めます。
けれど、
ここは一度、
分けて考えたほうがよいと思います。
ミスについて必要な説明をすること。
これは自分の責任です。
でも、
上司の怒りや不安を鎮めること。
そこまで、
自分の仕事なのでしょうか。
相手が不安になる。
怒る。
納得できない。
その感情まで全部引き受けようとすると、
やり取りに終わりがなくなります。
「もっと説明すれば分かってくれる」
と思って話す。
すると、
また別の質問が来る。
それに答える。
さらに細かい部分を追及される。
気づけば、
問題そのものではなく、
相手の感情を収めるために説明し続けている
ということがあります。
カップのキング逆位置は、
そんなとき、
「相手の感情の海へ入っていかないで」
と伝えているようにも見えます。
感情ではなく、業務へ戻す
では、
どうしたらよいのでしょう。
まず必要なのは、
やり取りを、
「感情」から「業務」へ戻すこと
です。
必要な部署への報告はいつ済ませたのか。
誰に伝えたのか。
どのような対応をしたのか。
今後、
追加で必要なことは何なのか。
これを簡潔に整理する。
そして、
必要以上に弁明しない。
たとえば、
「本件については○日に○○部署へ報告済みです。
追加で必要な事項があれば、具体的にご指示ください」
というように、
相手が求めているものを、
具体的な業務へ戻していく。
ここで大切なのは、
自分が悪かったかどうかを延々議論することではなく、
今、何をする必要があるのかを明確にすること。
です。
もう一つの読み――自分の感情を押し込めすぎていないか
カップのキング逆位置には、
もう一つ読み方があります。
それは、
相談者自身が、
自分の感情を抑え込みすぎている
という可能性です。
仕事でミスをした。
だから、
怒られて当然。
追及されても仕方ない。
嫌だと思う資格なんてない。
そう思っていないでしょうか。
けれど、
怖かったなら、
怖かった。
悔しかったなら、
悔しかった。
しつこいと感じたなら、
しつこいと感じた。
もうやめてほしいと思ったなら、
そう思った。
その感情まで、
「ミスをした自分が悪いのだから」
と消してしまう必要はありません。
反省することと、
自分の感情を否定することは別です。
むしろ、
感情を押し込み続けると、
ある日突然、
怒りや涙となって溢れてしまうことがあります。
カップのキング逆位置は、
「平静を装いすぎないで」
というサインでもあるのです。
ミスの処理と、相手の感情の処理を混同しない
今回のカードから、
いちばん大切な言葉を一つ挙げるなら、
私はこれだと思います。
ミスの処理と、
相手の感情の処理を混同しない。
ミスをしたなら、
必要なことはする。
報告する。
修正する。
謝るべきところは謝る。
次に生かす。
でも、
それ以上、
相手の不安。
怒り。
苛立ち。
納得できない気持ち。
それらをすべて自分が処理しようとしない。
責任を取ることと、
責められる役を引き受けることは、
同じではありません。
そして、
もし必要な報告が済んでいるにもかかわらず、
何度も同じ件について追及される。
人格まで否定される。
威圧的な言葉を繰り返される。
精神的に追い詰められている。
そうした状態が続くのであれば、
やり取りの日時や内容を記録し、
必要に応じて、
さらに上の管理者や人事など第三者へ相談することも大切です。
感情の主導権を、相手に渡さない
カップのキングは、
感情を消すカードではありません。
感情があっても、
その感情に支配されないこと。
そして、
他人の感情にも支配されないこと。
それを教えてくれるカードです。
ミスをした。
反省している。
申し訳ないとも思っている。
それでも、
自分の尊厳まで差し出す必要はありません。
相手が怒っているからといって、
自分までその感情の中へ沈まなくていい。
やるべきことをやったら、
そこから先は、
一度、
自分の足元へ戻る。
今回のカップのキング逆位置は、
そんなふうに、
「感情の主導権を相手に渡さないで」
と伝えているように思いました。






