アネモネ雨依◇ロリータファッションは私の鎧だった 〜生きづらさを抱えた私を救ってくれた『可愛い』の力〜
10代後半から20代前半の私は
ロリータファッションに夢中でした。
空前のブームとなっていた
ロリータファッションは
専門雑誌もたくさん出版され
極め付けに〈下妻物語〉という映画では
主演の深田恭子が
BABY,THE STARS SHINE BRIGHTという、
ロリ服好きな女子の憧れのブランドに身を包んでいたことで
世間一般でも、このファッションが知られる機会になったと思います。
街へ出かけるときはお気に入りのロリ服を着て
レースやリボンを身にまとい
まるで物語の中の住人になったような気持ち。
わたしだけど、わたしじゃない。
そんな特別感に浸れる瞬間でした。
そして同じ頃
ヴィジュアル系バンドにもどハマり。
中学一年生の頃、L’Arc~en~Cielに出会い
バンドの魅力にハマってから
DIR EN GREYやMalice Mizer(GACKTが所属していたバンド)など……
歌番組にも出ていたような有名バンドだけでなく
ライブハウスでしか会えないバンドにも
ハマっていきました。
大音量の音楽に包まれながら、
ステージの光を見つめる。
今思えば、あの頃の私は
「好きだから楽しんでいた」というだけでは
なかったと思います。
当時の私は、人付き合いが得意ではなかった。
いわゆるコミュ障で
友達との距離感もうまく掴めず、
人の輪の中にいると疲れてしまう。
みんなが自然にできることが、
私には難しい。
誰かと比べて落ち込んだり、
自分は変なのではないかと悩んだり。
そんな生きづらさを抱えていた時期でした。
でも、ロリ服を着ているときだけは違った。
普段の自分ではなく
「好きな世界を生きる自分」になれたんです。
レースの袖を通し
ふわふわのパニエでふくらんだスカートをはいてお気に入りの厚底靴をはき
鏡の前に立つ。
それだけで少しだけ胸を張れる。
現実の自分を否定するのではなく
現実の自分を優しく包み込んでくれる
鎧のような存在でした。
ヴィジュアル系の音楽も同じです。
激しい音の中にある繊細な歌詞。
孤独や苦しさ、
居場所のなさを歌う楽曲たち。
それらは、当時の私の気持ちを
代弁してくれていたように感じます。
「自分だけじゃないんだ」
そう思わせてくれた。
ライブハウスには
学校や職場では出会えない人たちも
多く出入りしていました。
それぞれに悩みや傷を抱えながらも、
好きなものを全力で愛している人たち。
そこには、少し不器用でも
少し変わっていても
否定されない空気があった。
だから私は何度も足を運んだのだと思います。
今振り返ると
あの頃のロリータファッションやヴィジュアル系は、単なる趣味ではなかった。
私にとっては自己表現であり、
心の避難場所でした。
もしあの世界に出会っていなかったら、
もっと苦しかったかもしれない。
もっと自分を嫌いになっていたかもしれない。
大人になると
「昔の黒歴史」なんて
笑い話にされることもあります。
けれど私は
あの頃の自分を黒歴史だとは思いたくない。
むしろ感謝しています。
不器用で、人付き合いが苦手で
居場所を探していた私を
ロリータとヴィジュアル系の世界が
優しく受け止めてくれたから。
人は時に
好きなものに救われる。
誰かに理解されなくてもいい。
自分が心から好きだと思えるものがあるなら
それは人生を支える大切な光になる。
あの頃のフリルも
ライブハウスの熱気も
今でも私の中で静かに輝いています。
そしてこれからも
「好き」を大切にできる自分でいたいと
そう強く思います。
あなたが熱中できるものはなんですか?
子育てや仕事で忙しいと
つい、自分だけの〈好き〉が
わからなくなってしまいます。
けれど、もう一度
自分に目を向けてみて。
熱中できる何かが見つかったとき
あなたの心が解き放たれる瞬間が
きっと訪れるはずです。
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