曽我部 キキョウ
山頂にはずっといられない ~人生の下山方法
人生はよく登山に例えられます。
そして人生の指南書が多くあり、
登ることに誰もが力を注ぎます。
どんなに低くても、
山に登ろうとする、つまり
自分の人生をよくしようというのは
とても大事なことです。
しかし、ここで少し考えて欲しいのが
山は登ったら、下りなくてはいけないということ。
実際の山でも、
山頂は長くとどまるような場所ではありません。
風は強く、寒いし
食べるものも、暖を取るものもない。
そのままそこに居座れば
死んでしまいます。
山頂からの景色を目に焼き付け、
あるいは写真を撮って
人は下山します。
登山は、山から無事に下りてこそ
終了であり、成功です。
ところが人生ではどうでしょう。
どう登るかは、たくさんの人が語ります。
成功する方法、
恋愛成就の方法。
では、そうして迎えた絶頂期は
永遠に続くのでしょうか。
そうではありません。
どこかで、翳りが見え始め
やがて下降期に入ります。
しかし、登ることを目標にしてきた人は
このとき上手に下ることができないだけでなく
下ることすら拒絶します。
下降には喪失のイメージが
あるからでしょうか。
例えばアスリートが引退を宣言すると
よく頑張った、お疲れ様!
と今までの功労をねぎらわれます。
芸能人でも第一線を退いたとしても
これからの人生を応援されることが
よくあるパターンです。
ところが自分の人生のこととなると
どうやら勝手が違うようです。
会社の役職や
これまで築いてきた顧客との関係、
業界での立場など
手放す段で判断が鈍りがちです。
外から見れば十分なキャリアでも
本人はまだ動けるつもりだと
引き際を見誤ってしまうのです。
しかし、無理をして山頂に踏みとどまろうとしても
苦しさばかりが増していきます。
どんな人にも絶頂期はあるでしょう。
若さ、商才、体力。
しかし、それは変化していくものです。
だからこそ、登る技術だけではなく
そこから下りる技術も必要なのです。
後進に道を譲り、
自分は別の役割を担う。
これは喪失でも、敗北でもありません。
登山が下山まで含めて成功と言えるように、
人生の山もまた、上手に下山できてこそ
本当に山を登ったと言えるのではないでしょうか。
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