「私、看護師だからここまででいいよね?」その一言が刺さった 看護師と助産師、近いからこそ難しい関係
「私、看護師だからここまででいいよね?」その一言が刺さった。看護師と助産師、近いからこそ難しい関係
「私、看護師だから。そこから先は助産師さんの仕事でしょ?」
その一言で、ナースステーションの空気が一瞬止まりました。
同じ患者さんを守っているはずなのに、いつから私たちは「看護師」と「助産師」に分かれてしまったのでしょう。
産婦人科の現場では、看護師と助産師が一緒に働くことがあります。
本来は同じチームです。
助産師には妊娠・出産・産後、新生児に関する専門性があります。一方、看護師には幅広い疾患や患者さんに対応してきた看護の経験があります。
役割が違うだけで、どちらが上という話ではありません。
ところが忙しい現場では、その「違い」がいつの間にか壁になることがあります。
ある日のこと。
分娩が重なり、病棟全体が慌ただしくなっていました。
ナースコールが鳴り、電話も鳴り、スタッフが廊下を行き交っています。
そんな中、看護師が助産師に尋ねました。
「これ、どうしたらいい?」
返ってきたのは、
「それくらい自分で判断して」
という言葉でした。
助産師にも余裕がなかったのでしょう。
でも、言われた看護師はそのあと、ほとんど口をきかなくなりました。
休憩室でぽつり。
「助産師さんって、やっぱり看護師より上なんかな」
その言葉が、妙に心に残ります。
助産師になるためには、看護師資格を取得したうえで、さらに専門的な教育を受け、国家試験に合格する必要があります。
だから妊娠や出産に関して高い専門性があります。
でも、
専門性が高いことと、人として立場が上であることは別です。
一方で、助産師側にも言い分があります。
「何でも助産師に聞かれるとしんどい」
「分娩中はものすごく神経を使う」
「お母さんと赤ちゃん、二人を見ている責任がある」
これも本音でしょう。
つまり、看護師が悪い、助産師が悪い、そんな単純な話ではありません。
人間関係が悪くなるときに怖いのは、
「私のほうが大変」という競争が始まることです。
「助産師は分娩があるから大変」
「看護師だって受け持ちが多い」
「こちらのほうが責任が重い」
どちらにも大変さがあります。
でも、大変さを比べても誰も楽にはなりません。
必要なのは、
「そっちもしんどいよな」
という一言だったりします。
大阪風に言えば、
「まあ、お互い大変やんな」
それくらいでええんです。
しばらくして、最初にすれ違った看護師と助産師が同じ夜勤になりました。
夜中、患者さんの小さな変化に看護師が気づき、すぐ助産師へ伝えました。
対応が終わったあと、助産師が言いました。
「気づいてくれてありがとう。助かった」
看護師も少し照れながら、
「こちらこそ」
と笑っていました。
たった一言です。
でも、その一言で二人の空気は変わりました。
患者さんから見れば、看護師も助産師も「自分を支えてくれる人」です。
最終的に向いている方向は同じ。
命を守ること。
不安を和らげること。
その人を支えることです。
もし今、看護師と助産師の関係に悩んでいるなら、「資格の違い」と「人間関係の問題」を分けて考えてみてください。
本当に助産師だから苦手なのでしょうか。
それとも、その人の言い方や態度がしんどいのでしょうか。
そこが見えてくると、距離の取り方も変わります。
人を支える仕事をしている人ほど、自分の心を後回しにしがちです。
でも、
人を支えるために、自分の心まで壊す必要はありません。
資格が違っても、立場が違っても、人として尊重されることは同じ。
そしていつか、
「あの人がいてくれて助かった」
とお互いに言える関係になれたら。
それが、本当に強いチームなのだと思います。
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