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あぐり

彼女ができた彼を、まだ好きでいてもいいですか ――ペンタクル7とソード6が教える「待つこと」と「前へ進むこと」

「好きになった人に、彼女ができてしまいました」

そんなご相談がありました。

まだ正式にお付き合いしていたわけではありません。

けれど、二人で映画を観に行ったり、食事をしたり。

少しずつ距離が近づいているように感じていたそうです。

もしかしたら、この先もう少し関係が深まるかもしれない。

そんな期待もあったのでしょう。

ところが、彼には恋人ができました。

それ以来、彼は相談者との間に一線を引き、以前のように二人で映画や食事へ行くことはなくなったそうです。

それでも、気持ちは簡単には消えません。

しかも周囲から、

「彼女とは、あまりうまくいっていないらしい」

という話も耳に入ってきます。

そうなると、どうしても思ってしまいます。

「もしかしたら、まだ可能性があるのではないか」

そんな相談に対してタロットを引いたところ、出たのは、

ペンタクル7・正位置

でした。

ペンタクル7は「ここまで育ててきたもの」を見つめるカード

ペンタクル7には、自分が育ててきた作物を前にして、立ち止まっている人物が描かれています。

まだ収穫の時ではありません。

かといって、ひたすら作業を続けているわけでもない。

ここまで育ててきたものを眺めながら、

「このまま育て続けるのか」
「ここへ、さらに時間と労力を注ぐのか」

と考えているようなカードです。

今回の恋も、何もなかったわけではありません。

映画へ行った。

食事をした。

会話を重ねた。

相談者にとっては、少しずつ育ててきた関係です。

だからこそ、

「もう少しだったのに」

「彼女さえできなければ」

「もし二人が別れたら」

と思ってしまうのでしょう。

その気持ちを、無理に否定する必要はありません。

これまで好きだった時間も、二人で過ごした時間も、なかったことにはならないからです。

ただし、今は状況が変わっています。

彼には恋人がいる。

そして彼自身が、相談者との私的な付き合いに一線を引いた。

ここは、きちんと現実として見る必要があります。

ペンタクル7は、

「待っていれば、いつか必ず実る」

と約束するカードではありません。

むしろ、

「あなたは、この恋にこれからも自分の時間と心を注ぎ続けたいのですか」

と問いかけるカードなのだと思います。

「好きだから待つ」と「ここまで好きだったから手放せない」は違う

恋愛では、これまで注いできた時間が長いほど、手放すことが難しくなります。

ここまで好きだった。

ここまで期待してきた。

ここまで心を使ってきた。

だから、

「もう少し待てば何かが変わるのでは」

と思いたくなる。

けれど、

「まだ好きだから待ちたい」

という気持ちと、

「ここまで好きだったから、今さら諦めたくない」

という気持ちは、少し違います。

ペンタクル7は、その違いを静かに見極めるよう促しているように見えます。

今すぐ諦める必要はない。

でも、彼と彼女の関係がどうなるかだけを見ながら、自分の時間まで止めてしまわないこと。

私は、このカードをそんなふうに読みました。

「でも、彼は職場ではとても親切なんです」

すると相談者は、こんな話をしてくれました。

「彼は職場では、今でも私に親切です」

「私を嫌っているようには思えません」

「私も彼に誠意を持って接していきたいと思っています」

そして彼には、少し複雑な事情があるのだそうです。

以前には、

「自分は女性とは付き合えない」

という話をしていたこともあった。

だから相談者は、

彼が人間関係の中で、自然に誰かと付き合えるようになってほしい

と願っているのだそうです。

そこで、さらに一枚カードを引きました。

出たのは、

ソード6・正位置。

このカードが、二人の今の関係をとてもよく表しているように感じました。

ソード6は「穏やかな場所へ移っていく」カード

ソード6には、船に乗って静かな水面を渡っていく人々が描かれています。

大きく戦うカードではありません。

何かを奪い取るカードでもない。

荒れた場所から少しずつ離れ、

より静かな場所へ移っていく

カードです。

今回の二人の関係も、これに近いのではないでしょうか。

彼女ができる以前は、映画や食事へ行くような、少し親密な関係だった。

けれど恋人ができたことで、彼は私的な交流から距離を置いた。

一方で職場では、相談者に普通に親切に接している。

これは、

相談者を嫌って関係を切ったというより、関係の置き場所を変えた

と読むことができます。

恋愛へ向かう可能性を含んでいた関係から、

職場での穏やかな人間関係へ。

彼なりに、一線を引きながらも、関係そのものは壊さないようにしているのかもしれません。

ですから、

「彼が親切だから、まだ恋愛感情がある」

とまでは言えません。

けれど、

「彼は私を嫌っている」

とも限らない。

その中間にある、もっと静かな関係が今の二人なのでしょう。

誠意とは、相手の境界線を尊重すること

相談者は、

「私も彼に誠意を持って接したい」

と言いました。

私は、その姿勢は大切にしてよいと思います。

ただし、ここでいう誠意とは、

彼を救うことではありません。

彼の複雑な事情を何とかしてあげることでもない。

彼が誰かと自然に付き合えるように、支えてあげることでもない。

彼の人生は、彼自身が歩いていくものです。

相談者ができることは、

彼が今つくっている距離を尊重すること。

職場では、これまで通り自然に接すること。

彼が親切なら、こちらも親切にすること。

それ以上の意味を無理に求めないこと。

それが、今できる誠意なのではないでしょうか。

「彼の幸せを願う」と「彼を待つ」は同じではない

人を好きになると、

「この人には幸せになってほしい」

と思うことがあります。

その気持ちは、とても自然です。

ただ、ときにはその中に、

「できれば私が、その幸せの相手になりたい」

という願いも一緒にあります。

それも悪いことではありません。

恋をしているのですから、当然でしょう。

大切なのは、自分の中に両方があることを認めることです。

彼の幸せを願っている。

そして同時に、自分を選んでほしい気持ちもある。

どちらかを「きれいな気持ち」に直す必要はありません。

ただ、

彼のため

という言葉で、自分の恋心まで見えなくしてしまわないこと。

そして、自分の恋心を理由に、彼が選んでいる現在の関係へ踏み込まないこと。

その両方が必要なのだと思います。

ペンタクル7からソード6へ

この二枚を続けて見ると、とても美しい流れがあります。

ペンタクル7は、

「この恋に、これからも自分の時間と心を注ぐのか、一度立ち止まって考える」

カード。

そしてソード6は、

「答えを急いで取りに行くのではなく、自分の心を少し穏やかな場所へ移していく」

カードです。

つまり、

諦めなさい

でも、

彼を待ちなさい

でもありません。

もっと静かな答えです。

彼をまだ好きでもいい。

でも、彼が彼女と別れるかどうかを見張りながら待たない。

彼との未来を考えることだけに、自分の時間を使わない。

彼が親切なら、その親切をそのまま受け取る。

彼が一線を引いているなら、その一線を尊重する。

そして、自分も自分の人生を進めていく。

もし本当に状況が変わり、彼がもう一度相談者との関係を深めたいと思うのであれば、そのときは彼自身の行動として現れてくるはずです。

それまでは、

未来の可能性より、今ある関係を丁寧に扱う。

それでいいのだと思います。

恋を手放すとは、必ずしも相手を嫌いになることではありません。

好きなままでも、

期待の持ち方を変えることはできます。

相手を思いながらも、

自分の人生を前へ進めることもできます。

今回の二枚が伝えているのは、そんな成熟した愛の形なのかもしれません。

彼を諦めなくてもいい。
でも、彼を待つために、自分の人生を止めない。

そして、

縁を切るのではなく、期待から少し離れて、穏やかな関係へ渡っていく。

今は、そんな時間なのだと思います。

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